桜
寒い冬が漸く和らぎ、昼間は、随分暖かくなり、桜の便りも届き始め…
開き始めた桜の花が、寒の戻りで、半開きの日々が続く…君と見ようと約束しているのに、なかなか咲ききらない…
君の艷やかな黒髪と、薄紅色の桜の花が、楽しめないのが口惜しい…
春の気まぐれな装いに、桜を早くと、つい急かしてしまう…
君と
桜並道を歩くのは、君がいい…そんなふうにずっと、そう思っていた…
春風に揺れる桜の花が、時々花びらを零し乍ら、君と僕を見守っている…
ヒラヒラと舞う一片が、君の髪に飛んできた…手を伸ばして、そっと取って君の手のひらに渡した…小さく微笑う君が少し眩しくて…ただ、それだけの事でも、心の中がくすぐったい…この一コマが、永遠に続けばいいのに…
空に向かって
春風に乗って飛んで行く桜の花びら…煽られて、空高く舞っている一片が、だんだん小さくなって行く…
あの一片が、目に焼き付いて、忘れられなくて…皆んなと別れて、青空に吸い込まれそうな、淡いピンクの花びらは、何処まで飛ばされたのだろう…あのまま、空に飛ばされて、夕焼け雲になったのか…それとも、海に落ちて、桜貝になったのか…誰かの胸に溶け込んで、初恋に変わったのか…そんな取り留めのない空想が、少し病みつきな、春風の心地良い四月のとある午後のひと時…
はじめまして
4月1日、新年度がスタートする…3月の別れから、新たな出会いのシーズン…始めては、毎年、ドキドキで不安とちょっとだけ期待してしまう…
たったの一日で、何か世界が代わるような、不思議な感覚…学校では、一学年代わるだけなのに、妙に誇らしく思っていた…其れが、大人になると、だんだんそんな感覚も薄れてしまう…でも、初々しい新人を見かけると、ちょっとだけ、背筋が伸びて来る…何となく大人の余裕を見せたくなるけど…
またね!
久しぶりに会った同級生…皆んな、卒業してから、それぞれバラバラの道を歩いている…たまにあるクラス会も、年々参加人数が減っている…地元を離れたり、結婚したり、大病を患う事も…
それでも、あの頃は、男女別々だったり、グループがあったりで、それほど纏っていなかったのに、歳を重ねる毎に、色んな垣根が消えて行く…
そして、お互い抱き合いながら、またね!って惜しみ乍ら、それぞれの居場所に帰って行く…次のまた を楽しみに、集合写真をなぞってみる…