落ちていく
気が付くと、いつの間にか落ちていた…
絶対にないと思っていたのに…意地悪なあなたに、惹かれている…喧嘩ばかりしていて、憎まれ口ばかりで大嫌いだと思っていたのに…
知らないうちに、目で追ったり、他の人と親しげに話しているとモヤモヤしたり、会えないとイライラしてしまう…
何で、って思うけれど、日に日に、あなたへの想いに墜ちていく…
夫婦
いつか、屹度出会える筈…今は、何処に居るのか、どんな方なのか、何も判らないけれど…
この世界の何処かに、一緒に人生を歩む、あなたが、屹度、私を探してくれる…私も、早くそんなあなたにめぐり逢いたい…
そして、何時までも、仲良く、どんな時も、二人で、手を携えていたい…あなたを苦しめる、全てのものから、護りたい…
今は、未熟で、頼り無い私だけれど、いつの日か出会える、あなたの為に、強くなりたい…
どうすればいいの?
なんで…
こんなに、あなたを想っているのに…あなたには、届かない…本当は、あなたの側に居て、あなたを支えていたい…
でも、あなたは、遠い存在で、何も出来ない…ただ、遠くから、見つめるだけ…どうすれば…
いつも、堂々巡りの片思い
宝物
押入れの整理をしていたら、埃だらけで、色褪せた段ボールが出てきた…段ボールには、汚い字で、宝、とだけ書いてある…
埃を払い、止めてあるガムテープに手を掛けると、簡単に外れた…開けると、もう何のためにしまっていたのか判らない様な、ガラクタが、沢山投げ込まれていた…
幾つか取り出してみると、その下に、小箱が見えた…緑と白のストライプの箱を開けると、陶器でできた、ピエロの風鈴が入っていた…途端に、中学生の頃の2つ下の後輩の女の子の顔が浮かんできた…
そして、誕生日プレゼントだった事も、憶い出した…痩せっぽちで、あどけない顔で…お兄ちゃんになって下さいって、手紙をくれたっけ…
風鈴の音と、あの笑顔、今でも忘れない…
キャンドル
久しぶりに灯した蝋燭…
子供の頃は、台風の度に停電があり、ガタガタなる雨戸や突風でミシミシ揺れる家の音が怖かった…そんな中で、薄暗く、ゆらゆらしている、蝋燭の明かりが、少しだけ、心が休めてくれた…
また、夏祭りの時に飾られた手作りの灯籠も、蝋燭の明かりだった…四角の木枠に、和紙に好きな絵を描いたものを貼り付けて、ピンと張った縄にぶら下げて、足元を照らしていた…
そんな遠い故郷の景色が、目の前の揺らめく蝋燭の炎に浮かんでくる…