多田野一人

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宝物
押入れの整理をしていたら、埃だらけで、色褪せた段ボールが出てきた…段ボールには、汚い字で、宝、とだけ書いてある…
埃を払い、止めてあるガムテープに手を掛けると、簡単に外れた…開けると、もう何のためにしまっていたのか判らない様な、ガラクタが、沢山投げ込まれていた…
幾つか取り出してみると、その下に、小箱が見えた…緑と白のストライプの箱を開けると、陶器でできた、ピエロの風鈴が入っていた…途端に、中学生の頃の2つ下の後輩の女の子の顔が浮かんできた…
そして、誕生日プレゼントだった事も、憶い出した…痩せっぽちで、あどけない顔で…お兄ちゃんになって下さいって、手紙をくれたっけ…
風鈴の音と、あの笑顔、今でも忘れない…

11/20/2024, 3:00:43 PM