多田野一人

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8/30/2024, 2:32:16 PM

香水
何故だろう…君とすれ違う度に、いい香りがする…香水とかは、多分、使っていそうにないのに…
ふわりと長い髪が揺れると甘く優しい香りが漂ってくる…シャンプーの所為なのか、判らないけれど…
言葉を交わす事も無いけれど、儚げな君の横顔と、この仄かな香りが、ずっと、僕の中に満ちていて…気が付くと、君の姿を追っているよ…

8/29/2024, 2:44:06 PM

言葉はいらない、ただ…
久しぶりに逢うね…あの日から、どのくらい経ったのかな…
あの、暑い夏の陽射しが、容赦無く照り付けていたあの日…何時もの持ち合わせ場所の、ローターリーの噴水で、唐突に、さよならを云われれて…まだ幼かった私には、理解出来ない話をされて…
そして今、お互いに、見違える様な姿で、向かい合っている…言葉なんていらない…ただ、抱き合うだけで…

8/28/2024, 2:22:59 PM

突然の君の訪問。
ルールールー、
スマホの着信音に吃驚した…普段、メールの着信音しか鳴らないのに…周章てて出ると、
ねぇ、今からそっちに行ってもいい…
と、あなたからの電話…返事をする間も無く、直ぐに通話が切れた…まだ、日曜日のお昼過ぎで、何時もみたいに、起きたばかりで、頭もぼんやりしている…
そうか、今から、あなたが来るんだ…来るんだ…と頭の中で考えていた、けど…えっ、ヤバく無い…周章てて、部屋の片付けを始めた…よく、◯◯部屋なんて言われるから、滅多に人を呼んだりしてない…押入れや、ベッドの下に色々投げ込み、適当に掃除機をかけて…大雑把な私は、ある程度で諦めて、あの人を待つことに…でも、突然、どうしたのだろうか…
何時も、口数少ないし、感情も読めない…何かあったのか、それとも、私が何かしてしまったのか…色々考えていると、玄関のチャイムが鳴った…

8/27/2024, 2:54:47 PM

雨に佇む
突然の夕立に、周章てて、近くの公園の小さな屋根付きのベンチに逃げ込んだ…久しぶりに来た公園は、思いの外狭くて、遊具も小さくて、今更乍ら吃驚した…子供の頃は、広くて、滑り台も高くて、ブランコも、空まで漕げそうな気がしていたのに…
そして、何時も一緒に遊んでいた、女の子の記憶も蘇って来た…木陰で、新聞紙を敷いて、ままごとして、大人になったら、結婚しようねって、約束をしては、ほっぺにチューもしていたっけ…
そんなことを、雨宿りし乍ら、一人で思い出して、今は名前すら、覚えていない女の子を懐かしんで…

8/26/2024, 2:55:27 PM

私の日記帳
この間、段ボールに詰め込んだ本の確認をしていたら、昔の日記が出てきた…大学ノートで、30冊位…毎日一頁ずつ、色々書いていた…昔から下手くそな文字…自分の書いた物なのに、所々読めない…
今は、スマホに、綴っている…凡そ変わり映えしない内容だけれど…
日記を書き始めたのは、とある女の子の日記が、きっかけだった…小学六年生で、交通事故で亡くなった女の子の日記を、母親が纏めた本…その本と出会ってから、色々な人の日記を読み漁った…
其々の色々な思い、恐らくは、他人に知られずに、埋もれてしまう筈だった…市井の人の誰か、だけれど、志賀直哉の、ナイルの一滴、にある唯一無二の誰かの想いは、後にも先にも無い…そんな、せめてもの、自分の存在を残してみたいと言う思いから…

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