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㈴|㈴
アナログなタトゥー。
一時の悪ふざけが僕の世代にまで残る。机の中心に彫られているせいでたまにペン先が溝にハマってプリントを貫く。
タツヤとアカリ。今ふたりは幸せですか?
最初に恋に対して落ちるという言葉を繋げた人はきっとめちゃめちゃモテたんだろうな〜
目に見えない重力の作用を恋から見いだすその感性だけで生きた時代の違う現代人の自分が惚れ込める
しかもfall in loveやtomber amoureuxのように世界各地の他言語圏にもそんなふうに恋と落下を繋げてる人がいたという事実も面白い
落下することの原始的な恐怖とそのどうしようもなさはスリルを伴う恋と通ずるものと気付けるセンスが遍在していたなんてこの世界ってわりといいじゃんと思えてくる
そんなふうに言葉について最初に立ち返って考えてみれば当たり前だけどことわざや慣用句も最初は誰かのセンスによって作られたものだと気付く
ほとんどの人は既に死んでいると思うがことわざや慣用句を最初に作った人はそれが現代まで残ってることを誇ってもいいと思うし、その言葉を墓に刻んだ方がいいと思う
「死人に口なし」とか刻んであったらめっちゃお洒落だし最初にそれを表現した人はぜひ名乗り出てほしい
あ、死人に口なしか
1年前は腹の中で漂うのが常の生活だったな
クラシックとかいうものを聴かされていたがあれはいい 自分の聴覚の発達を感じられて心地よかったよ
それと母よ ときどき内側から蹴りを入れてすまなかった 身体を動かすことの楽しみを覚えてしまったのもあるが一番は反応が欲しかったのだ 未熟で申し訳ない
過去を振り返ってみると自身の圧倒的成長を感じるとともに力不足にも気付いた1年間だったな 今年は早く自立できることを目標にするとしよう
まずは「おぎゃあ」の発声練習から手を付けるとしようか
半分バカにしながら買ったアドラーの超簡単な解説本
中古屋にて入手 自己分析用のページの項目に前の持ち主がちゃんとチェックを入れているのが残ってて可愛かった
背伸びする為に買ったポスト構造主義の哲学書
フリマアプリにて入手 他の出品物やアカウント情報を見るにおそらくゴリゴリのサンリオファンの方が出品されていて人間の幅を感じた
ホテル清掃で入った部屋に置かれていた洋書
入手するとクビになるのでホテル側にお預け 添えられたメモ用紙に殴り書きの英語で「この本は本当に素晴らしい!読んでくれ!メキシコよりxx/xx/20xx」と書かれていた 後で調べたあらすじはつまらなかったが表紙は綺麗だった
好きな本
雨の中傘を差しながら二人で歩いていると道の傍らに咲く花に彼女が気づき吸い寄せられるように近寄って行った。
「あじさいが見れるようになるから梅雨っていいよね。」
同意できない。彼女の感性はときどき僕とは合わない。僕はそれだけではまったく梅雨を許せない。季節を楽しめない僕は彼女の感性を羨ましく思った。
「あ、見て。かたつむりだ。かわいい。」
同意できない。彼女の感性はときどき僕とは合わない。僕にとってはむしろ気持ち悪い。可愛いという言葉を聞いて僕はつい前から思っていたことをこのタイミングで彼女へぶつけてしまった。
いつも可愛いって言ってくれるけどそれってかたつむりと同じような可愛さの意味で言ってる?
彼女はよく僕を可愛いと言う。外見も内面もしゃきっとできずどろどろとしたなめくじのような僕にだ。前からそれが不思議で仕方なかったのでつい口を滑らせ聞いてしまった。ああ、面倒くさいなめくじな質問。彼女は即答した。
「うん、そうだよ。」
そうなんかい。
と僕も反射的に言うとすぐに冗談だよと彼女は笑った。彼女があまりに早くそして真顔を作って答えるから僕も笑った。それから二人の笑いがおさまった後で彼女はいたずらっぽい目をこちらに合わせて言った。
「 ?」
僕は同意した。