9/28/2024, 2:18:04 AM
『通り雨』
出掛けようとドアを開けると雨が降っていた。今朝のニュースは今日の天気は晴れだと予報していたし、ついさっきまで晴れていた。空にはどんよりとした暗い雲はなく、爽やかな青色が広がっている。
_通り雨だろうか。出掛けようとした矢先に雨が降るとは運がない。だが、通り雨なら時期に止むだろう。
そう思い、家の中へと戻る。ドアを閉めようとしたその時、どこからか和楽器の綺麗な音色が聞こえてきた。音色に隠れ、じゃりじゃりと以前聞いたことにある草履で歩く時の独特な足音も聞こえる。
閉めかけていたドアの隙間から外の様子を流し見る。何かが通ったようだった。そのままドアを閉める。ドアにもたれかかり、しばらく様子を見る。
音が遠くなった。何かが通っている様子もなくなった。試しにドアを開けてみる。雨は止んでいた。
_ああ、今日は嫁入りがあったのか。これは縁起の良い。またお目にかかりたいものだ。
見上げた空には嫁入りを祝うように綺麗な虹が架かっていた。
9/20/2024, 8:56:27 AM
『時間よ止まれ』
友人が机に突っ伏していた。しばらくすると時折漏れ出ていた声が止み、涙目になった顔がこちらを向いた。
「俺明日のテストなんも勉強できてねぇんだよ〜…お前勉強した?」
「一応は」「やっぱりな!」
友人は再び机に突っ伏した。小さく お前はそういうやつだって知ってたけど〜 との声が聞こえた。
「そうやってても時間は待ってくれないぞ」
チラと視線がこちらを向き、何やら考える様子を見せた。
「そうだよな〜…でも時計ぶっ壊せば時間止まりそうじゃね⁉︎」「お前やべぇヤツじゃん」
友人は笑いながら 冗談だって と言った。
「やるなら明日だろ」「お前こそヤベェやつじゃん」