『通り雨』
出掛けようとドアを開けると雨が降っていた。今朝のニュースは今日の天気は晴れだと予報していたし、ついさっきまで晴れていた。空にはどんよりとした暗い雲はなく、爽やかな青色が広がっている。
_通り雨だろうか。出掛けようとした矢先に雨が降るとは運がない。だが、通り雨なら時期に止むだろう。
そう思い、家の中へと戻る。ドアを閉めようとしたその時、どこからか和楽器の綺麗な音色が聞こえてきた。音色に隠れ、じゃりじゃりと以前聞いたことにある草履で歩く時の独特な足音も聞こえる。
閉めかけていたドアの隙間から外の様子を流し見る。何かが通ったようだった。そのままドアを閉める。ドアにもたれかかり、しばらく様子を見る。
音が遠くなった。何かが通っている様子もなくなった。試しにドアを開けてみる。雨は止んでいた。
_ああ、今日は嫁入りがあったのか。これは縁起の良い。またお目にかかりたいものだ。
見上げた空には嫁入りを祝うように綺麗な虹が架かっていた。
9/28/2024, 2:18:04 AM