空を見た海月

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12/3/2024, 10:05:34 AM

いつも同じ場所で、同じ言葉を交わして別れる。
大切な親友がいた。
小学生の時からずっと同じ学校で、同じ時を過ごしてきたから。
私達は、
卒業式の日でも、言わなかったから。
それが続くんだと思っていたけど。
もう違うみたいで。
おとなになったあの子は、もう「またね」とは言わなくて。
散りかけの桜の中、彼女はゆっくりと口を開いた。

――さよならは言わないで。

11/29/2024, 10:09:33 AM

あなたのその優しい目が好きです。
あなたのその柔らかい声が好きです。
あなたのその手が好きです。
あなたが、好きです。

告げた言葉は夏に置き去りなのに。
私の想いは引き摺られている。
諦めなんてつくはずがない。
つくはずなかったんだ。
春の温かさ程ではないけれど、今もなお残る暖かさは。
来年まで大事に持っておく。そう、決めていたのに。
時が経つにつれ失われていく温度。
色鮮やかに見えた世界から、失われていく色。
紅葉の木には葉がなくて。
流石に気づいてしまった。
あぁ、これが冬のはじまりなんだな。と。

11/27/2024, 10:56:57 AM

全ての人を愛する。と宣言した、
君の行動に口は出さないつもりだった。
愛を知らない僕には出す権利もないと思っていた。
だけど、それは間違いで。
口に出さなかったから君はいなくなって。
僕が気づかなかったから君はいなくなっていて。
君は――見にくいくらいの愛情を、くれていたのに。
あなただけのことは愛せない。と、嘘をついていたんだね。
嘘は愛じゃないのに。
君は君なりの信条を、愛に変えていたんだ。
――それならば
君の言った通りなんじゃないだろうか。
君は僕だけを愛することはできなかったけど。
皆に愛を送る事はできたんじゃないだろうか。
そしてその行動で、僕に愛を示した。
不器用な君が、見せた嘘。
不器用な僕が吐いた真実。
君はあいだった。

君の行動で僕の信条が変わるわけじゃない。
君はとてもちっぽけで、無力な存在だったからだ。
だから僕は今でもこう思う。
嘘は愛じゃない。
愛は嘘じゃない。
だけど、嘘も
「愛情だ」

11/24/2024, 11:03:18 AM

木枯らしが吹き、日一日と秋が深まっていくようです。
その後ご無沙汰しておりますがお元気ですか。

つい先程までそんな言葉を綴っていた筆は、既に停止している。
――あれ程まで望んでいた機会だというのに
続く言葉を考える事もせず、私はそっと窓を開けた。

終わりかけの秋の風が部屋を覗き込む。

それで、何かが吹っ切れた。
息を吸い、
筆を折り、
言葉の残る手紙を丸め、ゴミ箱へ投げる。
私の恋はもう終わったのだ。
新しい出会いに喜ぶ春ではなく、
全力を尽くす夏でもなく、
春を待ち望む冬でもなく。
ただ終わったこと、終わっていくことを実感するだけの秋。
あまりにも醜い。
だから彼への想いは全て捨て、冬へ向かうべきだろう。
――そうだろう?

そうやって思って手をかけたのは、
水に濡れたセーター。

11/24/2024, 7:16:24 AM

あの人の乗った飛行機よ、どうか墜ちてくれ。
皆が同じ方を見る中、私は一人そう願った。
私の心は既に堕ちていたのかもしれない。
名誉を抱えて出ていったあの人に、こんな願いを抱くなんて。
私はなんて愚かなのだろう。
私達はなんて愚かなのだろう。
分かってはいるけど、願わずにはいられない。
優しいあの人が誰かを殺める前に、あの人がいなくなってしまえば。と。
――だってもう終わりじゃない
何も聞かされてはいないけれど、
聞くことはできないけれど、
私達は終わっている。
もう勝機などないだろう。
ねえ、どうせ叶わぬ願いなら。
いっそ、あの人があの人である内に死んでしまえたらな。
なんて。

どうせ叶わぬ願いだったから。
やけに冷たい風の中、
落ちていく。

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