チャレンジ6(誰かのためになるならば)
高校生の頃、街で募金箱を見かけると必ず、小銭を入れていた。誰かのためになるならばと願っていた。困っている人に手を差し伸べたい。自分は救援に行けないけれど、何か協力したい。
募金することは、見知らぬ人と自分をつなぐ。不謹慎な例えだが、自分が小説の登場人物になったかのような、甘い陶酔があった。誰かと関わる自分、心のつながり。わずかな募金額で、つながりの実感を手に入れようとしていた。この安易な発想は、歳を重ねた今もあまり変わっていない。
誰かのためになるならば、ひと肌脱ぐ気持ちはある。ただ、覚悟を決めて行動しないと、単なる親切の押しつけになりかねない。相手が必要としない手助けは、迷惑以外の何物でもない。本当に相手を思い、必要なタイミングで、さりげなく手を差しのべる人間になりたい。
ところが、理想と現実は違うようだ。
私は、あれこれと見当違いな行動をしては、周囲に迷惑がられている。思いやりのある人間になるのは、とても難しい。人間力のある人がうらやましい。
チャレンジ5(鳥かご)
思春期になると、子供は親に反発する。親や世間の価値観に疑問を持つ。
狭くて古臭い鳥かご、この鳥かごの扉を開けてやる、何なら扉を壊してでも、広い世界に出ていってやる。自分の腕一本で、世の中を渡ってみせる。
憧れに胸を躍らせ、理想の人生を夢見る。血気盛んな君は美しい、間違ってはいない。
だけど、君が疎ましく思った鳥かごを、ふと懐かしく振り返る時が来る。どんなに頑張ってみても、人間はどこかで、社会とつながっている。本当の孤独に耐えるとき、帰るべき場所のあることに安堵するはずだ。
鳥かごを出た若者が、新しい鳥かごを見つけに行く。新しい鳥かごに暮らし、居場所を得る。成長とは、そんなものだと思う。
実家の片付けをしながら、思ったこと。
チャレンジ4(友情)
どうしているかな、元気にしてるかな
気になるけど、手紙は出さない
やさしいあいつも、こちらを気にして
返事をくれるとは思うけど
消えそうなほど、細い糸の友情
それでも、あいつと俺はつながっている
互いの心に居場所はある、そう思いたい
チャレンジ3(花咲いて)
花咲いて、心躍る。子供の入学の日。
花咲いて、胸が苦しい。入院中の友を見舞う日。
花咲いて、己の未熟さに腹が立つ。桜の咲き誇る日。
チャレンジ2(もしタイムマシンがあったら)
もしタイムマシンがあったら、小学生の時に行ってみたい。可能性や夢を信じていた。なりたい職業があった。大人になった自分は、あの日の夢は叶わなかったけれど、ほどほどに幸せだ。
子供の自分に会ったら、夢をみられることが宝物だと言ってやりたい。大人になると体力がなくなるから、子供時代を楽しめ。これはオジサンのひがみだ、言わないでおこう。