たくちー

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7/3/2025, 7:42:58 PM

心が救難信号をハッシュタグ付きで送信する。変わらない日常に疲れきってしまった。もう我慢しなくていいや。刺身の盛り合わせの半額シールを綺麗に剥がし、菓子パンに貼り付ける。レシートは捨ててきた。浮いたお金で国産鰻をこっそり食べにいこう。(匂いでバレないように気をつけて…。がんばれ、私。)


題『遠くへ行きたい』

7/2/2025, 8:16:23 PM

博物館の入園料を払う。歩いてすぐの場所に白い台座に置かれた石膏像があり、その眼球の窪みには無色透明なクリスタルが片側だけに埋め込まれていた。その眼球内で緑色の蝿が一匹飛び回っていた。近づくと、まるで意識しているかのようにピタリと動きを止めて微細な動きで追従した。"見えたかね?" 脳内で蝿が囁く。誘蛾灯に導かれるように近づく。軽く触れると、砂時計を裏返したかのように崩壊してクリスタルが砕け散った。


題『クリスタル』

7/1/2025, 7:39:14 PM

匂いは過去との比較だ。洗濯物は無臭で良い香り。
かつてイグサの香りがした客間は、積まれた段ボールと雑誌の束により、どこかへ飛んでいってしまった。亡くなった祖母の部屋は、いまだに当時の映像を想起させる。夏の匂いはどこか懐かしい、少年時代を彷彿とさせるノスタルジックな匂いだ。おたまじゃくしを探しに田んぼに向かう笑う少年の幻影が私の背後から追い抜いていった。


題『夏の匂い』

6/30/2025, 7:40:04 PM


カーテンは驚くべき生存戦略を持っている。断捨離の際に脳裏に浮かぶことが一度もなかった。誰にも意識されずに西日や月光から守っている。まるで影の主人公のようだ。そんな存在でありたい。

題『カーテン』

6/29/2025, 7:55:49 PM

《青リンゴとオオカミ》

テーブルに3個のリンゴが置いてあった。1*3=3
「うまそうなリンゴだなあ」1つ食べる。1*2=2
「ほんとうにうまい」1つ食べる。1*1=1
「とまらない」1つ食べる。1*0=0
しまった。すべて食べてしまった
代わりに青リンゴを置いておこう
1*(-1)=-1
1*(-2)=-2
1*(-3)=-3

これだと色でバレてしまうな
魔法で赤くしよう
「リンゴよ!赤くなれ!」(-3)*(-1)=3

なんと青が赤になりました。真っ赤なウソです
「これでだいじょうぶだろう」
オオカミは帰っていった。

これはいけない。魔法を解きましょう

ベクトル反転!
向きよ!逆向きになりなさい

1*3*(-1)=-3
マイナスは魔法の言葉。青く深い神秘の魔法


題『青く深く』

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