博物館の入園料を払う。歩いてすぐの場所に白い台座に置かれた石膏像があり、その眼球の窪みには無色透明なクリスタルが片側だけに埋め込まれていた。その眼球内で緑色の蝿が一匹飛び回っていた。近づくと、まるで意識しているかのようにピタリと動きを止めて微細な動きで追従した。"見えたかね?" 脳内で蝿が囁く。誘蛾灯に導かれるように近づく。軽く触れると、砂時計を裏返したかのように崩壊してクリスタルが砕け散った。題『クリスタル』
7/2/2025, 8:16:23 PM