《桜散る》
この花を見ると、つい、
きみを思い出してしまう。
憧れだったきみ。
楽しそうだったきみ。
笑顔だったきみ。
どうしようもなく、
思い出してしまうんだ。
この感情は捨てたはずなのに。
ああ、
この「すき」という感情さえも
桜風に吹雪かれて
塵になってしまえばいいのに。
出来るだろそのくらい。
お前はぼくから
大切な存在を
攫っていったんだから。
《届かぬ想い》
いつからだったろう。
君に手を伸ばすのをやめたのは。
いつかは届くと思っていた。
そんな自分が浅ましい。
浅ましい。
人生は叶わないことのほうが多いのに。
願ってしまった。
きみが振り向くことを。
きみがぼくに笑いかけてくれることを。
後悔したってもう遅い。
ぼくは、きみという一番星に
届かなかったんだ。
《誰よりも、ずっと》
誰よりも、ずっと
君をみていた
誰よりも、ずっと
君を好きでいた
誰よりも、
ずっと、
そんな、独りよがりなことは、
自分がよく知っている
君のいちばんになりたかった
君をいちばん好きでいたかった
君と一緒に生きたかった
嘘じゃないんだよ
本当に、
誰よりも、ずっと
君の幸せを
僕は願っていたんだ
《好きじゃないのに》
どくん、どくんと心臓がなっている。
好きじゃないのに、
きみのことばかり考えてしまう。
好きじゃないのに、
きみの仕草ひとつで一喜一憂してしまう。
好きじゃないのに。
好きじゃないなら、
この焦りと心臓の昂りは一体なんなんだ。
頭の中がぐちゃぐちゃになって、
張り裂けてしまうほど痛いこの感情は、
一体なんなんだ。
きみが。
きみが教えておくれよ。
《二人ぼっち》
世界が僕と君だけだったらよかったのに。
そうしたら全てを君にあげる。
嫌なことからは耳を塞いで、
目を覆って、見えなくしてあげたい。
楽しいこと、嬉しいこと。
幸せなことばかりの人生にしてあげたい。
こんなにも祈っているのに。
現実はそう上手くはいかない。
なんて無常なんだろう。
嫌なことからは目を背けられないし
耳を塞いでも隙間から流れてきてしまう。
それでも君は、強いから。
僕が守らなくたって一人で生きていられるんだ。
君は別に、世界に僕と君だけじゃなくていい。
僕だけだ。
君がいなきゃ生きていけないのは。
君と二人ぼっちになって
君を幸せにしたいと願う僕が、
幸せになりたいだけなんだ。