*暗がりの中で*
1羽の鳥が引っかかるコード
私は、その鳥のように
沢山のコードにかかる。
その事しか考えられない。
そこは闇だった。
ただ、それだけだった。
*紅茶の香り*
ポゥと灯る豆電球を見つめながら想いにふける。
あの時、何故帰らなかったのか。
帰るのが怖かった。あのまま帰ってたら本当の貴方を見ずに済んだのに。
ロッカーから取り出した制服を見た。貴方が居た。
そこで目を伏せ踵を返していたら。
でも、袖に通す手、スカートに伸びる足…それは貴方のもので、最後にウィッグを念入りに被る貴方。
物凄く可愛かった…。
それからそのロッカーがある豆電球のプレハブに何度か通った。勿論、貴方にバレないように、そっと。
それが実は、バレていて、初めから貴方は『見せていた』と知ったのは…
私は今、渋い液体を飲まされながら後悔している。
「こんなはずじゃ!」
つい叫んだ私は顔に髭を書かれて貴方に男装させられている。
そして貴方が入れた渋い紅茶。
貴方は料理が下手なのね。
香りは良いのに黒とも言える紅茶。
「眩暈がするわ。嬉しすぎる!こうやって夫婦逆転で過ごすのが夢だったのよ!!」
貴方が言う。
「眩暈がするのはこちらの方よ…。」
何故か私も嬉しくて楽しいのが信じられないのだから。
本当の貴方が、私より可愛いのにね。楽しいの。私の容姿に後悔する日が来るなんてね。そこは残念すぎよ。悔しいわ。
紅茶の香りは増して鍋に煮出すその黒水を飲むのは、私なのかしらね…。
鏡に映る紅茶を飲む男と女
見られてました!!
世の中誰が見てるか分からないものです。お気をつけて。
*愛言葉*
朝目を覚まし、顔を洗い整え囁く言葉。
金の縁に銀の輝き
紅茶の香り
私はいつもの言葉を。
彼は応える。
誠実な彼はいつも私を選ぶ。
彼の美声に満足して朝食を食べる。また昼にも夜にも囁く言葉。
なのに、彼を壊してしまった。
もう元には戻れない。彼を失って私は狂う程の憎しみが…。
林檎に毒を煮込ませて
さぁどうぞ、召し上がれ。
もうお分かりでしょうか?
彼は応える。
「この世でいちばん美しいのはオキサキサマです」
「鏡よ鏡?この世でいちばん…」
「オキサキサマデス」
彼を壊してしまった。もう逢えないのですね。
割れた欠片に映るのは、醜い私。
わかってますよ。この私がいちばん、なのは、いえ、解らない。何故こんな事になったのか、が。
*友達*
友達っていうと、ネコ型ロボットと眼鏡っ子を思い出す。
駄目な僕をボクが助けてくれる。
「ありがとう。」とか
「なんだよ!」とか
「ごめん…。」
そこにキミの名前がつく。
その度にキミとの絆が深まっていく。
そんな憧れ。
私は名前をすぐ忘れてしまう。
薄情者なのか?頭が興味持ってないのか?
それを薄情というのかもしれない。
…違うのかもしれない。
呼ばないから忘れてしまう。
そう思おう。
…じゃあね!友達さん。また逢いましょう。