「ひとりじゃん」
「そうだよ」
「食う?」
「食わねーよ」
校舎裏の日陰に座り込んでる自分の隣にあいつが座って差し出してきてたチュッパチャプスの一つを口にふくむ。
「ぼっちさみし」
「さみしい気分の時はぼっちがちょうどいい」
「詩的」
「意味わかんね」
埋めるより感じたい。
ついでに、一人でいると暇な奴が寄ってくるからちょうどいい。
寂しさが浮き彫りになる感じ。
だから、
2024/07/31 だから、一人でいたい
「たいやき」
「まさかの。この夏空に」
頭おかしい、といつも隣を歩くあいつが言う。こめかみから滑り落ちる透明な雫。帰り道は日陰が少ない。文字通り鉄板の上を歩いているような気持ちでアスファルトの上をローファーで行く。
「ま、い、に、ち、ま、い、に、ち」
「歌い出した。頭にたいやき詰まってんのか?」
「詰まってない。コンビニ寄ろ」
「オレガリガリくん」
「いきなり自己紹介すんな」
「ちげーよ、ちげーわ」
涼しいコンビニでスイーツコーナーでカスタードたい焼きを手に取ったら「たいやきに乗っ取られてやがる…」って言われた。
黙れガリガリくん。
7/16 空を見上げて浮かんだこと
ここが『街』なんて意識して歩いたことはない。
生活の全てで隣にあいつがいてむかつくことも楽しいこともちょっとあった『場所』。
大人になっても離れたりしたら「この街も変わったな」とか言ってんのか。人間の感性ちょろいな。そうはなんねーから。
とか考えてたのに。
お前がいなくなっただけで「この街も変わったな」って思ってるから、人間て単純で馬鹿でセンチメンタル。
さっさと帰ってこないとセンチメンタルハラスメントで訴えるぞバーカ。
2024/06/11 街
「世界一周」
「はいうそ」
「ばれたか。コンビニホットスナック全種制覇」
「いけそう」
「全種コンビニの」
「やばそう」
2024/06/10「やりたいこと」
うさぎ小屋とかいうじゃん。狭い部屋のこと。
でもうさぎがいたらよくない?
クソみたいなこの部屋にふわふわの生き物がいると思ったら救われる。
「うわケモノ臭い部屋」
「そっちの方向性のウサギ要素はいらない」
久しぶりに見た悪友の顔に「何言ってんだこいつ」とでかでかと書かれている。うるせーかわいーうさぎのイメージ返せ。
「学校来ないと思ったらこんな暗い狭い臭いとこいたら腐るぞしぬぞ」
「いきなり人ん家来てその言葉選びキツすぎてむり」
「いーから」
こいよ、と手を伸ばされたらなんとなくその手を掴んでしまった。
ペットショップに連れてって。そんでうさぎのイメージもっかい塗り替えて。
2024/06/04 狭い部屋