【不完全な僕】
喫茶店にて。
コーヒーを頼んだ私は机の上でブリッジをしながらコ◯インを嗜んでいた。もちろん服は着ていない。
「お待たせしました」
店員がコーヒーを差し出してきた。
しかし
「ほどこしはいらん!」
なぜか気に入らなかった私はコーヒーを床にぶちまけた。
店員は真っ青になって震えている。ゴミが。
そこに店長がやって来た。
「どうされましたか?」
私はしょうがなく状況を説明した。
「実はそこにいる店員から大麻の匂いがしたんです。僕もよく吸っているので分かります」
話を聞き終えると店長は鬼の形相になり店員を殴り倒した。
「まさかこの店に犯罪者がいたとは。お前は人間のクズだ!」
「まあまあ」
私は擁護した。
「彼も不完全な人間だから。その辺で許してやりなさい」
「なんとお優しい!お客様がそこまでおっしゃるのなら、、」
店員は既に全身を複雑骨折しているがなんとか許されたようだ。
店長は警察に通報し一件落着した。
めでたしめでたし。
ちなみになぜか私も警察に事情をしつこく聞かれたが、私が岸◯総理の親戚だと分かると土下座して非礼を詫びた。
やれやれ。
あと店員は薬物とは関係なかった。
【裏返し】
海辺を歩いていると亀がイジメられていた。
数人の子供が寄ってたかってひっくり返した亀を棒で叩いたり、タバコの火を押し付けたりしている。
「ガキどもが、、、」
私は人当たりがよく非暴力を推奨している人格者だが、守るべきものがいる場合は別だ。
私は走りながらたまたま持っていたダガーナイフを投擲した。
ナイフは芸術的軌道を描きながら突き刺さった。
亀に。
「あっ」
ミスった。
亀「ぎゃあああー。呪ってやるーヴォォー」
亀は苦しみながら息絶えた。
私は真っ青になっている子供たちに優しく語りかけた。
「まーこんなこともある。しゃーない。亀さんも許してくれるさ」
憎まれ役は私だけで十分だ。
私はそれだけ言うとそそくさとその場を後にした。
ちなみに目撃者が多数いたので後日私は捕まり死刑になった。やれやれ。
【心の健康】
腹が減ったし、おにぎりでも食べるか。
私はいつものようにコンビニへ行くとおにぎりを頬張った。
「困ります。お客様」
店員らしき人に止められた。
まずい。お金を払うのを忘れていた。
「ちょっと言い訳をさせてください・・・実は」
ここは正念場だ。
「テメーの顔が気に食わねーからだよぉぉぉー」
私はおにぎりを吐き出し商品棚を蹴飛ばした。
やってしまった。
穏便に謝るつもりが、みすぼらしい店員のせいでいつもの発作が出てしまった。
しかも棚はドミノ倒しになり店は壊滅状態だ。
仕方ない警察を呼ばれる前に帰るか。
しかし。
「私は警察署の方から来たものだ」
振り向くと警察官と思わしき人物がマサカリを構えている。
警官は言った。
「これだから高卒ニートはクズなんだ。学のないものは犯罪しか起こさない。殺すしかないな」
なんの根拠もなく人を無職呼ばわりとは。
心が荒んでいるに違いない。
私は逃走を中断し戦う決心をした。
─ここまで全員無職
【太陽】
スマホの電源ボタンを5回押すと緊急通報機能が作動し110番にかかるらしい。
喫茶店で私がそんな話をしていると友達は言った。
「じゃあ、試してみよう!」
友達は電源ボタンを連打し電話でここの住所と凶悪犯が暴れている旨を伝えた。
「え?ちょどうすんの?」
私は焦った。これはイタズラ電話だ。
勘違いだと分かったら警察に殺されるだろう。私は過去のトラウマを思い出した。
─3分後
「オラー警察だぁー。全員手を上げろ!」
警察官と思わしき2人組が店のドアをぶち壊した。
「この店で発砲事件が発生したと通報があった。犯人は誰だ?早く言わないとこうだぞ」
警官は空調機を粉砕した。
オーナーの顔が青ざめた。
客もざわついている。そろそろ本当のことを言わないとまずい。
私は勇気を振り絞った。
「ちょっと待って下さい。実はさっきの通報はイタズ─」
ばん。
私の横を銃弾が掠った。
「犯人はテメーか。お天道様は欺けねーぞ」
警官は私の横にかけてあった時価1000万の絵画を見せしめに穴だらけにした。
オーナーは膝から崩れ落ちた。
これは終わったか。
友達の方を見ると彼はのん気にコーヒーを飲んでいた。
私が問い詰めると彼は言った。
「実は最初から電話なんてしていないんだよ。さっきは電話するフリをしただけ。驚いた?」
なんだってー。
「じゃあ彼らは─」
「ただの通りすがりのゴロツキだよ」
なんだよー。ビックリした。
見ると彼らは他の客にも難癖をつけて店を破壊している。
「じゃあ帰るか。それにしても驚かすなよ。警察に迷惑をかけると公務執行妨害とかがな」
「分かってるよ。うちの両親は警察官だからな。人に迷惑をかけるなとよく─」
私達は他愛のない言い合いをしながら店を後にした。
オーナーはまだうずくまっていた。
「誰か助けて」
私はアンチストレッチマン。
興味本位で家の2階から飛び降り膝を悪くした私は世にはびこる健常者を恨んでいる。
「今日もアンチストレッチストレッチ!」
私が街を巡回しているとさっそく邪悪な活動を見つけた。
子供たちが公園でラジオ体操をしている。
私は全速力でラジオに近づくと蹴り飛ばし提案した。
「クソガキどもが地獄に落ちろ!」
するとガキどもは蜘蛛の子を散らすようにどこかに逃げて行った。
健康児どもが。家でゲームでもしてろ。
しかしよく見るとまだ帰っていない人物がいた。子供の保護者だ。
保護者は言った。
「ラジオ代を弁償しろ!」
しまった!コイツはモンスターペアレントか。
ラジオが壊れたのはラジオの責任であって私は関係無いのだが。
しかし私も負けるわけにはいかない。ネットで調べた格闘術で応戦してやる。
が、
「これを持ってきていて良かった」
保護者はどこからか取り出したチェンソーを取り出しエンジンをかけた。ブゥーンブゥーン。
まずい殺される。
私は逃げようとしたが、足が動かない。
さっきラジオを蹴飛ばしたせいで膝がやられたみたいだ。
また病院通いか。
「ラジオの仇ーあああああー」
膝をついた私に保護者がチェンソーをかかげながら飛びかかってきた。
─その時
「あいつが不審者だ!」
警察官が保護者を取り押さえた。
どうやらガキどもが通報したらしい。
「待て!私は善良な一般人だぞ。異常者はアイツだ」
保護者は何か言っていたが問答無用でしょっぴかれていった。
「やれやれ。今日も街を平和にしてしまった」
私はカッコよく決めつつ、病院まで這っていった。