突然だが縁を切りたい友達がいる。
会社の同僚だ。
いつも偉そうで愚痴ばかり言っている。
「直接言ってもいいが、ここは社会人らしく文章で、丁寧かつ遠回しに気持ちを伝えよう」
私は決心し以下のラインを送った。
”あなたの顔を見ると吐き気がします。気持ち悪いので死んで下さい”
「ふースッキリした。ん?」
返信が来ない。
普段なら10秒くらいで来るのだが。
不安になった私は、同様の文章を1分おきに朝まで送り続けた。
翌朝─
「しまった!」
間違えて会社の社長に送っていたことに気づいた私は動揺した。
まあ、悪意は無かったし許してもらえるだろう。
出社後、私はクビになった。
でももう同僚と会わなくて済むからハッピーハッピー
私はさすらいの明かりつけ師。
他人の住居に侵入し、部屋の明かりをつけることに命をかけている。
理由?そんなものはただ一つ。
家主が帰って来たときに寂しくならないようにするためだ。
我ながら出来すぎた性格である。
「さあて、今日の報酬は何かな〜♪」
ちなみにボランティアでやっているわけではない。
見返りとして家のものを拝借している。
とりあえずブランド物のバッグと腕時計と液晶テレビとパソコンと、、、
私は手近なものを袋に詰め込んだ。
「まあこんなもんか。シケてんな」
大したものはなかったがそろそろ潮どきだろう。帰ろうとすると物音がした。
「誰だ?姿を見せろ」
私はいい感じに威圧した。
出てきたのは家主だった。
「お取り込み中にすみません」
やけに低姿勢な家主だった。
私がさらに威圧しようと考えていると家主は続けて言った。
「ちなみに警察には通報しています」
「あああああーーー」
私は家から飛び出た。ここで捕まったら泥棒と勘違いされるに違いない。
見た目に騙された。あの家主は鬼だ。
しかし家の周りにはすでにパトカー100台が待機していた。
私は警察官に袋叩きにされ息を引き取った。
今日は素敵な日。
なんと家に友達が来たのだ。
「何して遊ぶ?」
そう言うと友達はソファに腰掛けた。
私はすかさず持っていたこん棒で友達を殴り倒した。
「ぐふぁっ」
友達は血を吐いて倒れた。
当然だ。家主の許可もなく座っていい訳がない。
親しき仲にも礼儀ありだ。
部屋に沈黙が流れた。
私は場を和ませるために言った。
「今度君の家に行きたいな?」
翌日〜
「ぎゃあああー」
友達の家に来た私は、勝手に冷蔵庫を開けたという理由でコンクリートブロックで殴られた。
コイツはヤバい。
「友達は選ばなければならないな」
私は痛感した。
「今日はいい天気だし散歩でもするか」
私は夜の町を四つん這いになって歩いていた。
すると─
「ちょっといいですか?」
警察官に声をかけられた。
職質と言うやつだろうか。
私は紳士的に応じた。
「任意ですよね。だったら何も言うことはありませんファッ○」
しかし警察官は横暴にもこう言った。
「我々も仕事なもので。荷物を見せてもらってもいいですか?」
良くない。
私のカバンには日本刀3本と白い粉が入っている。
私は賭けに出た。ワンチャンこの警官を亡き者にすれば何とかなる。
暴力は力である。
「政府の犬めくたばれ」
私は渾身のカラテチョップをお見舞いした。
が、気づくと私の体は宙を舞っていた。
背負投げをくらったらしい。
私は地面に叩きつけられた。
警察の横暴に屈した哀れな庶民の図である。
私はそのまま意識を失った。
空は綺麗だった。
皆さんは自宅警備員という職をご存知だろうか?
危険が伴う大変な仕事である。
が、同時に安月給でもある。
金銭面に不安を覚えた私は、最近自宅外業務を始めた。
家の周りのパトロールである。
歩いていると子供たちが騒いでいるのが見えた。
大勢の子供が1人の子を囲っている。
イジメのようだ。
「ヤーイお前の母ちゃん派遣社員!」
「父ちゃんはヒモ野郎」
どうやら低所得の親を馬鹿にしているようだ。
まあ、よくある子供の喧嘩だ。放っておいてもいいだろう。
しかし次の言葉に私は耳を疑った。
「お前みたいな貧乏人、将来自宅警備員になるしかないんだろ?情けないな」
私の中の何かが切れた。
私は持っていた金属バットでクソガキどもを制圧した。
見たか大人の力を。
間違えてイジメられていた子供もこらしめてしまったが、まあしょうがない。喧嘩両成敗というやつだ。
後はお金を徴収すれば仕事は終わりだ。
私がクソガキどもに金品を要求しようとしていると、
「そこで何をしている?」
通りがかりのプロレスラーが話しかけてきた。
「いや、これはですねえーと、困ったな」
糞が。
私はお金を諦めて、逃走した。
もちろん捕まった。