私はさすらいの明かりつけ師。
他人の住居に侵入し、部屋の明かりをつけることに命をかけている。
理由?そんなものはただ一つ。
家主が帰って来たときに寂しくならないようにするためだ。
我ながら出来すぎた性格である。
「さあて、今日の報酬は何かな〜♪」
ちなみにボランティアでやっているわけではない。
見返りとして家のものを拝借している。
とりあえずブランド物のバッグと腕時計と液晶テレビとパソコンと、、、
私は手近なものを袋に詰め込んだ。
「まあこんなもんか。シケてんな」
大したものはなかったがそろそろ潮どきだろう。帰ろうとすると物音がした。
「誰だ?姿を見せろ」
私はいい感じに威圧した。
出てきたのは家主だった。
「お取り込み中にすみません」
やけに低姿勢な家主だった。
私がさらに威圧しようと考えていると家主は続けて言った。
「ちなみに警察には通報しています」
「あああああーーー」
私は家から飛び出た。ここで捕まったら泥棒と勘違いされるに違いない。
見た目に騙された。あの家主は鬼だ。
しかし家の周りにはすでにパトカー100台が待機していた。
私は警察官に袋叩きにされ息を引き取った。
7/8/2023, 5:48:18 PM