『死んだら』
死んだら天国にいくか、地獄にいくか
いい人は天国で、悪い人は地獄にいく。
みんな言ってる。
親より先に死んだ子はどんなこでも
必ず地獄にいく。
皆言ってる。
でもそれじゃああなたも貴方も貴女も
みんな、皆、地獄行だ。
だからお気楽に生きればいいんじゃない。
いい人になりたい。悪い人になりたくない。
いい人になりたくない。悪い人になりたい。
いろんなひとがいて
理想を求めて無理をして、
辛く思うくらいなら、
皆地獄にいくんだから
気楽に生きればいいんじゃない。
『小瓶』
海風香る小さな小屋で
小さな紙に綴ります
優しい言葉を一言
不安な気持ちを拭うように
あの頃の不安だった私に送ります
小さな手紙は小さな小瓶に
そっと詰めて詮をします
全てを還す母なる海
きっと過去に還してくれると信じて
あの頃の不安だった私に送ります
小さな小瓶は大きな波に飲み込まれ
姿を消してゆきます
それを見つめる私の姿
どこにも翳りはないでしょう?
『合格発表』
鐘がなる鐘がなる
僕の胸で鐘がなる
綺麗な天使達が
嬉しい知らせを僕に運んできた
鐘がなる鐘がなる
僕の中で鳴り響く
高らかにファンファーレが
未来への道を祝福する
鐘がなる鐘がなる
いつまでもどこまでも
鐘がなる
『線』
一本の線が
うねって 歪んで 真っ直ぐ伸びて
新しい線達と出会った
新たな線達は
何本かは一つになり
何本かは離れていった
それを 何度も 何度も繰り返すと
一本のまま終わった短い線達や
半ば途切れた線達が
周りに沢山いることに気づいた
そして果てに吸い込まれそうな か細い線達も
彼らをどうするかは自由だけど
どうせ皆同じ果てを歩んでゆくのだから
少し寄り道して考えて
ちょっとだけ自分の線に寄せてみる
同じ果てでも振り返ったときに
こっちの道を選んで良かった。
良い旅路を歩んだ。と
そう、おもってもらえるように
光をちょっと遠ざける。
これが、僕の旅路。
『母』
音を立てて
綺麗な青に吸い込まれた
クラリクラリ
光が揺れて
コポリコポリ
泡が産まれた
無限の色が踊っている
母なる海に吸い込まれた
巨大な青は
冷たくて恐ろしい
だけどそれは
この世の全ての母と同じ
いつも水仕事で冷えた手で
抱きしめてくれた母と同じ
進むべき道を誤ったら
叱ってくれる母と同じ
冷たくて恐ろしくて何もかもを包んでくれる
だから寂しくない。
真っ暗な海の底で
己の体が朽ちようとも
母さんのもとに還れるのだから。
僕は懐かしい夢ををみながら
どこまでも沈んでゆく。