風花

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10/22/2022, 10:20:28 AM

『ホントノハナシ』


僕は衣替えをしません

おかしいと思うでしょう
衣替えをしないなんてへんでしょう
いい加減変えろと 
暑さや寒さで死んでしまうぞと
何度も何度も家族は季節の変わり目に言いました

おかしいと思うでしょう
なぜ変えないのだと思ったでしょう

だけどもう
自分自身どうでも良くなったんです

暑さや寒さを感じてるときが
唯一生きてると感じるから
自分の体をぞんざいに扱っているとわかっていても
唯一生きてると感じるから

ただそれだけなんです


8/13/2022, 2:55:48 PM

『ココロのケンコウ』


きょーもわたしは げんきです

はーとは どくどくうごいてます

にこにこ えがおいつもどーり

こころは けんこー

まいにち けんこー


だけどあるとき音がした

パラパラパララ

グチャグチャ

ピッ


あれあれ あれれ

変な音

どこかで鳴ってる変な音

はーとの音とは違ってる

不思議な音が響いてる


はーとのどくどく 煩くなって

おめめがお水でいっぱいだ

心チクチク 

苦しいの

ねえ。

どうしちゃったの…













8/11/2022, 1:00:36 PM

『案山子の夏』



金色の太陽が山に沈んでゆく


昼間の鮮やかな緑の水田も
今はなんとなく物悲しい色になっている


赤い空にイタズラからす
みんな山に帰っていく


目の前では男の子が走ってる


遠くでポツリポツリと光がみえて
きっとどれかがその子の家

「日が沈む前に帰らなきゃ。」

暗くなってゆく畦道を
少年は走りつづける



イタズラからすは帰っていく。

少年も帰っていく。


だけど僕だけ帰れない

田んぼの真ん中で
両手を広げて立っているだけ


僕の頭の上でいつのか分からない麦わら帽子が
カサカサと風で音を立てている

僕と麦わら帽子。

二人きりの夜はもうすぐだ











7/9/2022, 2:40:47 AM

『猫』

冷たいコンクリートのビルの隙間
ネオンの光も幽かに差すだけの誰も知らない隙間

その隙間から闇色を纏った一匹の見窄らしい猫が
美しすぎる金色の瞳に疲れ切った都会を映している

猫は光の中に飛び込むわけでもなく
ただ暗がりから街を見つめ
やがて暗闇に吸い込まれていく。

かつて我が物顔で歩いていた気高く美しい猫達は
ネオンに夜を奪われた。

彼らは光も差さない物陰で
街の明かりが消える日を待っている。









7/1/2022, 2:13:18 PM

『光』

閉じたカーテンの隙間から
漏れ出した光をそっと覗いてみる

おんなじ服着た少年少女が
私の知らないお話を 
沢山、沢山話してる。
  
苦しくなって、涙を堪えて
惨めにベッドに潜る日々。

制服も、青春も、
私のものだけが埃を被ってて。


いつか、あの中に入れたら。


窓越しに見えるのは、私の憧れ。

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