あなたが居たから俺は不幸になった。最初からなんとなくこうなることはわかっていたし、関わるべきじゃなかったんですよ。どうして俺なんかに笑いかけたんですか?最初から陥れようという算段でもあったんですか?俺が死んでも俺の葬式には来ないでください。俺はきっと永遠にあなたを許せないだろうから。魂が抜けたあとだってもう二度とあなたには会いたくない。さよなら。来世でも会わないことを願っています。
あの人の濡れた肩口が申し訳なかった。寄り添い、相合傘をした六月の紫陽花通りでのことを忘れられない。いま、どうしてますか。僕は相変わらずです。
「私が死ぬところを見ててほしいの、絶対に忘れないでほしいの」向こう岸に立つ君が俺に電話をかけながらそう言った。嫌な予感はずっとあった。胸がざわついて仕方がなかった。なのに足が竦んで動かなかった。“ブツッ……ツー……ツー”という音が鼓膜をふるわせてきたとき、落下していく君を追うように視線を這わせていた。ああ……もう終わりなんだって思いながら、ただただ立ち尽くしているだけしかできなかった。もうなにも取り戻せない。ただあの日に縋る。神にないものねだりをする。落下していく君が頭から離れない。俺はなにをしているんだろう。なにをしていたんだろう。ごめんな。
今が未来に繋がるのかわからない。不安になる。また本当のことを言えなかった。きっと繋いでいる手もいつかは離れてしまうことだろうと思う。俺のせいだ。ぜんぶ俺のせい。
「なにかやりたいことないの?勉強もしてる様子ないし、生きるということに対して希薄だよね」死ぬために生きていることはみんな同じなのに、命を上手く燃やせていないと、下手だと指摘される。不公平だな、世の中って。やりたいことよりも、やりたくないことの方が多いよ。どうして急かすの。まだ見つけている最中なのに。絶対やりたいことなんてひとつあればいい。不器用な俺はひとつしか熟せないから。だから少し待ってて。