向かい合わせ
何年振りかに再会した、かつてのクラスメート。
そして私の中学時代の片想いの相手。
同じクラス、同じ班、そして隣同士の席。
彼はクラスのムードメーカーで、面白くて、優しくてかっこよかった。
高校も同じだったけど、クラスは違ってしまった。
それだけで、あんなにたくさん話していた関係が、あっさりと終わりを告げた。
ただ隣のクラスになっただけで、こんなにも隔たりが出来てしまうとは。
いや、私が勇気がなかっただけだ。
遠くから見つめることしかできなかったのだから。
そんな片想いをしていた相手と再会した。
中学校の同級生同士が結婚したからだ。
再会しても彼は当時と変わらずで、ほっとした。
むしろ、大人になった彼に変わらずドキっとしてしまった。
と言っても、もう私の中では消化した恋だ。
懐かしいなと思うくらいで、それ以上の胸の高鳴りはない。
二次会は向かい合わせの席になった。
何だか中学校の給食の時を思い出した。
向かい合わせで食べていた時のことを。
昔も、そして今も彼のムードメーカー役は相変わらずで、私は笑った。
中学同士の友人たちが集まれば、昔話に花が咲く。
私は『今だから言うけどね』と言って、昔好きだったことを告白した。
当時は『好き』なんて言葉に出すのが恥ずかしかったけれど、今はこんなにも素直に言える。
それが自分の中で、清々しかった。
彼は一瞬驚いた顔をしたけれど、にこりと笑って『実は、オレも』と言った。
「なんだ、告白すればよかった」とお互いに笑いあった。両思いだったんだと知れただけでも、何だか嬉しかった。
向かい合わせで座る彼から、熱を帯びた視線が刺さる。
「今、付き合っている人いるの?」
「いないよ」
一瞬の沈黙。
「じゃあさ、どう?今からでも」
周りの友人がどんなに騒いでいても、彼の声はハッキリと聴こえた。
中学校の時に向かい合わせで見ていた彼の顔。
こんな真剣な顔は初めて見た。
男の人の顔になっていた。
そして私も女の顔になっているのだろう。
やるせない気持ち
幼馴染みに自分の気持ちを伝えた。
君はすぐに首をかいた。
それは君が困ったことを表す癖だ。
『考えさせて欲しい』と言われた。
すぐに振られないだけ良かったのかもしれないけれど、
翌日から君がよそよそしくなった。
ああ、本当に困らせた。
そう、実感した。
好きな男でもいるのだろうか?
それとも幼馴染み以上には考えられないんだろうか?
気持ちを伝えてすっきりした反面、伝えなければ良かったと思う自分がいる。
何ともやるせない気持ちだ。
『考えさせて欲しい』とはいつまでのことを言うのだろうか。期限が決まっているわけじゃないから、もやっとする。
だけど焦ったところで状況が変わるわけでもない。
今は、君の返事を気長に待つしかない。
待っている間に何かできないだろうか。
悪あがきでも何でもいい。
君がオレのことを好きになってくれるのなら。
海へ
ステージから見える景色はまるで海のようだ。
青いペンライトがたくさん光る。
私はそれが見たくて、みんなの喜んでいる笑顔に会いたくて、ステージに立つ。
小さい頃、私は空の絵と海の絵を描いていたみたい。
それほど青色に魅了されていたのだろう。
地元の海にも遊びによく行った。
空の青と海の青が好きだったから。
今はなかなか海へ外出できるほど、休みが取れないけれど、代わりに青いペンライトに囲まれている。
これからもアーティストであり続ける限り、私はこのファンタスティックな空間を大切にしていきたい。
裏返し
愛情の裏返しなんて言うけれど、
私はもっと素直な貴方が見てみたい。
貴方が私にデレデレになるところ。
かわいいんだろうなぁって。
鳥のように
『飛翔』という言葉が好きだ。
元々、私は夢の中で空を飛んでいる夢を見る。
夢というのは自分の願望から生まれるものらしい。
確かに私は思いっきり空を飛んでみたいと思う。
誰もがそんな憧れを持っていると思う。
空を飛びたいという憧れから、飛行機という移動手段が生まれた。
生まれ変わったら鳥のようになりたいとまでは思わないけれど、今この人の姿で、夢に向かって羽ばたきたいとは思っている。
もちろん、辛くて羽を休めることもあるだろう。
天候に左右されるように、運命に抗えないような時も出てくるかもしれない。
それでも、私は飛びたい。
鳥のように自由な空をどこまでも…どこへでも。