麦わら帽子
燦々と輝く太陽の中、私は歩いていた。
汗が滴り落ちる。
どこかお店に入って涼みたいと思った時、
その雑貨屋さんはあった。
こんなところに雑貨屋なんてあったっけ?と疑問に思ったが、それよりも暑さを凌ぎたい気持ちが優先していた。
店内は古着やアクセサリー、カトラリー類や文房具などが置いてあった。
古着の近くに麦わら帽子があった。
忘れ物をしやすい私は、今日は日傘も帽子も無かった。
涼しそうと思ったのが、シースルーの青いリボンが巻かれていたからだ。
青いというよりかは藍い。
藍色の、つまり濃いブルーが涼しげだった。
ブルーは私の推しの色だ。
買おうとすぐに思った。
なんだか元気が出た。
この麦わら帽子に似合う、ワンピースを買おう。
白のワンピースを。
私は颯爽と店を後にした。
終点
始まりがあれば終わりもある。
互いに「さよなら」を告げた。
振った振られたという安っぽい感じではない。
互いが互いを尊重して、そう結論づけて別れたのだ。
それでも淋しくないと言ったら嘘になる。
この空虚な想いは時間と共に薄れていくかもしれない。
けれど、とても素晴らしい思い出だ。
「ありがとう」と呟いて、僕たちはそれぞれの道を歩き出した。
上手くいかなくたっていい
上手くいかなくたっていい。
私は私の思うままに生きるから。
もしかしたら不器用に見える生き方かもしれないけれど、それでも私自身は納得しているんだ。
効率的に、合理的に。
それはそれで正しいのかもしれない。
でも、私は私の心の思うままに、まるで獲物が目の前にいる野生の狼のように、本能的に動いて、衝動に抗わず、ただ貪り尽くしたいのだ。
蝶よ花よ
その花は大事に育てられた。
とても綺麗で、誰もが目を止めた。
その蝶は大事に育てられた。
とても華やかで、誰もが目で追った。
綺麗な花に、艶やかな蝶がそっと止まる。
捕えることさえ、恐れ多くてできない。
誰があの花を手折るのだろう。
誰があの蝶を捕まえるのだろう。
きっと、それは自分ではないことだけは確かだ。
最初から決まっていた
最初から決まっていた。
一目惚れなんてしたことがない僕だったけれど、君を一目見た時から『ああ、これが恋なんだ』と心で感じた。
頭で理解したんじゃない。
あれは心だ。
今までは人を好きになることにピンときていなかったのだけれども、僕は彼女の横顔に恋をした。
風で髪の毛が靡いたのを見て恋をした。
友達に向けた笑顔に恋をした。
鈴のような軽やかな声に恋をした。
もう何もかも恋をした。
まるで恋に落ちることが運命だと、最初から決まっていたかのように。