失恋
初めてした『失恋』
それは嗚咽と言っていいくらいの叫びで、
自分でもこんなに涙が出て、こんなに感情がぐちゃぐちゃになるんだと知った。
私は告白しては振られてしまう。
もう何度目だろう。
好きな人とは永遠に結ばれないのかとさえ思い、
私は『恋』をすることに疲れてしまった。
なのに、また『恋』をした。
性懲りも無く。
これが最後の恋になるといいなと願いながら、
私は私の背中を押した。
正直
「へー、付き合ってるんだ、あの子と」
なるべく動揺しないように反応できただろうか。
胸の音がいつもより響いて煩く感じた。
心が抉られるというのはこういうことを言うのだろう。
私の長年大事に育ててきた想いは、嫉妬という、どす黒い何かで塗りたくられていくようだった。
顔の表情が強張りそうになりながらも
なるべく表情が変わらないように努めた。
相手は私の気持ちなんか知らずに、
惚気話に花を咲かせる。
正直に言えば、私は今から告白しても遅くないんじゃないかと感じた。
もちろんすぐに付き合えるとは思っていない。
でも私のこの想いを知ってもらえれば、
優しい君は少しでも私に意識を傾けてくれるかもしれない。
徐々にこちらに誘導すればいい。
「正直言うとね。私もあなたのこと好きなの」
梅雨
彼は優しい人だ。
だからしょうがないと言えばそれまでだし、
優しくしないでとは言える立場でもない。
彼にとってはどうということはないのだろう。
相手の女の子は頬を赤く染めている。
向けられる眼差しの意味を彼は知らない。
一緒に傘に入るとはどういうことなのか、
下手すれば明日の朝には噂にだってなるかもしれない。
耳障りだ。
この雨のように。
梅雨は嫌いだ。
無垢
君から好きと告白されて付き合った。
僕も男だ。
『好き』と言われて嬉しくないわけじゃない。
最初こそは彼女のことをそこまで意識はしていなかった。
君が積極的だったから、断るのも…と思っただけだ。
意外にも健気に僕のことを好いてくれる君に、
少しずつ惹かれていった。
多分、君と同じくらい、あるいはそれ以上に、
僕は君のことが好きなんだと思う。
手を繋いだり、腕を組んだり、
彼女に触れる回数が多くなって。
君の柔らかそうな唇にも触れてみたいと思うようになった。
頬に手で触れれば、顔を真っ赤にする彼女は、
まだ無垢な少女と言えた。
いつまでも純粋でいて欲しいと同時に、
露わになって欲しいという気持ちが生まれる。
そんな僕の頬にふと何かが触れた。
気が付けば、彼女の顔が近くにあった。
「………あ、」
呆気に取られた顔をしているだろう僕に、
彼女は可愛らしく舌を出して魅せた。
やはり彼女は無垢で愛らしい。
終わりなき旅
私は世界を旅している。
一度きりの人生。
色んな景色を見てみたい。
たくさんの人たちに会ってみたい。
生計はブログやYouTubeでのんびりと稼いでる。
時には現地でバイトをしたりもする。
異文化に触れることはかなりの刺激だ。
まだ見ぬ景色を求めて、
私の旅は終わらない。