透明
透明なガラス玉に映った世界は、
少しばかりぼんやりしていたけど、
色鮮やかに私の心を写した。
私は自分の胸に手を当てた。
心臓がばくばく打っていた。
ガラス玉に映った世界は私の心に応えるように、
ぴかぴかと輝き始めた。
それはなんだか気分が高まるような、
でもしばらくすれば落ち着いて心地よいものへと変わった。
ゆらゆらと揺れる世界は、どこまでも気持ちがよく、
私はそのガラス玉を大事にしたいと思った。
理想のあなた
理想のあなたは、私のいいなりになってくれること。
もう少しで、あなたは私のもの。
突然の別れ
いつまでも一緒だと思っていた。
幼い頃からずっと一緒にいて、それが当たり前だったし、これからもずっと続くと思っていた。
『僕は高校は別になっちゃうけどね』
それを聞いて嘘だと思った。
なんで同じ高校じゃないの?と少し非難めいた声が出た。
小さな子供みたいに駄々をこねた感じになった。
高校も一緒だと思っていたのに。
彼が行く高校は、県内でも有数の進学校だ。
しかも寮に入るという。
下手すれば、ほとんど会えなくなるかもしれない。
そう思ったら自然と涙が出てしまっていて、
親友の腕の中で泣いていた。
彼は困った顔をしていた。
困らせたくないのに、でもそうすれば同じ高校に変更してくれるかもしれないと、一縷の望みをかけて泣きじゃくった。
でも頭は分かっている。
彼は意外と頑固なところがあるから、
考えは変わらないなと。
もうすぐ夏が終わり秋がくる。
そして冬が来て春がくれば、あっという間にお別れだ。
もう子供じゃいられないと悟った。
恋物語
私は本が好きだ。
純文学から、最近流行りの小説、ファンタジーなどのライトノベルまで、どんな本でも好きだ。
恋愛ストーリーもよく読む。
私にはこんな劇的な恋愛は無理だけど、
でも憧れはある。
こんな地味な私にだって、片想いをしている相手はいる。
でも告白する勇気はない。
恋物語の主人公のようにはなれない。
でも、廊下ですれ違うと『おはよう』と声をかけてくれるだけで、ドキドキしてしまう。
私のことを認識してくれてるんだって思えるから。
そうだ。
この恋を小説にしていこう。
書くことは好きだから、ノートの中ではあなたへの想いを、思いっきり綴れるから。
私の恋物語は今日から始まる。
真夜中
ふと目が覚めたら、もう真夜中でした。
時計を見たら日付けは変わっていました。
目はかなりしょぼしょぼしていて、
眠いからということではなく、
泣き疲れて目が腫れているのでしょう。
今日、私は告白しました。
そして振られてしまいました。
しょうがないと思いつつも、
やっぱり悲しかったです。
夕飯も食べる気にはなれませんでした。
お風呂は何とか入ったけど、
涙がやっぱりこぼれ落ちました。
真夜中の空気は、いつもより澄んでいる感じがしました。
一切の無音が私の心を落ち着かせてくれました。
明日、もう日付が変わっているので今日ですが、
今日も変わらずあの人を想うのでしょう。