この場所から見える街の光のように
君の瞳は輝いてたよね。
キラキラしてて
何色にも染まってなくて
全て見透かしてしまうようで。
羨ましくなる。
僕の瞳は、もう、濁ってしまってるから。
欲しくなる。
君と同じものを同じように見たいから。
食べてしまおうか。
君が僕の一部に、僕が君の一部になるのだから。
#澄んだ瞳
足りない。
君の言葉も行動も。
僕への気持ちで溢れているのに…。
足りてるかな。
君への言葉も行動も。
この世界は君と二人きりがいい。
君に降り注ぐ矢は僕が受けよう。
たった1つ。かけがえのない宝物。
死んでも、生まれ変わっても一緒にいてほしい。
僕の愛は強すぎるみたい。
君の傍に居るためにビンに詰めて蓋をする。
初めて会った時は、キラキラ輝いてたな。
今では色がくすみ、中はどろどろしているようにみえる。
決してフタがあきませんように。
#欲望
目蓋の裏に見えた後ろ姿は貴方だった。
違う。わかってる。夢なんだから。
こんなこと起きない。幻想だよ。
でもしょうがないんだ。
貴方は違う世界の人。
ステージの上で輝いてる人。
私にとっては太陽で、神様で、宝物。
貴方の存在が私の幸せ。
今日も貴方の幸せを遠くから、
見えないところから祈ってる。
最近寒いから風邪引いてないかな?
美味しいもの食べてるかな?
仕事で辛い目に合ってないかな?
今日もいっぱい笑顔でいるかな?
貴方には常に笑ってほしいから、
それ以外は私が全部背負うから、
リアルでも画面越しでもない、夢でいい。
夢でいいから、私を思い出す時があったら
貴方の姿を私に見せて欲しい。
貴方の事を祈ってるから。
#夢を見てたい
幼い頃の夢を見た。
誰かが呼びかける声
喉を通る液体
顔に触れる暖かいタオル
おでこに触れる冷たい物
聴こえる加湿器の音
何かを温めようとコンロの火をつけた音
何処かに置いてきた記憶。忘れてた記憶。
もしかしたら、私の記憶ではないかもしれない。
それは苦しい記憶であるはずなのに、幸福に溢れていた。
私とは縁遠い記憶。だから夢なんだ。
自分に言い聞かせるように、また眼を閉じた。
#風邪
缶ビールとつまみがパンパンに入った袋が左手。
少し軽くなった缶が右手。
辺りはいつの間にかキラキラ輝き、
2人組が至るところに目に入る。
「あの頃に戻れたらなぁ」
誰も聴いていないが、
誰かに聴こえないように小さく呟く。
その言葉は、光に反射して自分に突き刺さる。
人が流れるほど空いていく缶。
周囲の幸せと比例して、自分の惨めさが増える。
若い頃は万能薬だったアルコールは、
ただの液体に過ぎない。
でも、これが全てを解決してくれると信じて流し込む。
袋に空缶を入れる。
1つ入れると、光が消える。人が消える。
袋がパンパンになった頃には、あの時より少し汚れた街。
何もないあの頃に戻りたい。戻るしかないと思ってた。
光が消えて初めて自分が見えた。
#イルミネーション