缶ビールとつまみがパンパンに入った袋が左手。
少し軽くなった缶が右手。
辺りはいつの間にかキラキラ輝き、
2人組が至るところに目に入る。
「あの頃に戻れたらなぁ」
誰も聴いていないが、
誰かに聴こえないように小さく呟く。
その言葉は、光に反射して自分に突き刺さる。
人が流れるほど空いていく缶。
周囲の幸せと比例して、自分の惨めさが増える。
若い頃は万能薬だったアルコールは、
ただの液体に過ぎない。
でも、これが全てを解決してくれると信じて流し込む。
袋に空缶を入れる。
1つ入れると、光が消える。人が消える。
袋がパンパンになった頃には、あの時より少し汚れた街。
何もないあの頃に戻りたい。戻るしかないと思ってた。
光が消えて初めて自分が見えた。
#イルミネーション
12/14/2022, 3:26:12 PM