幸せな時間は、どんな形であろうとも、いつか壊れる
人生最大の幸福は、些細な不幸で一気に崩れる
そして、その幸福や不幸は、僕たちが生まれた時、つまり、僕たちの最初から、プログラムのように決まっているのかもしれない
もしかしたら、そうじゃなくて、
生まれた時には、さまざまな選択肢が目の前に用意されていて、それを自分で選んでいくのかもしれない
それは、僕たちにはわからない
だけど、一つわかるのは、終わりがあること
これは、最初から決まっていること
この世界の生き物の、ルール
その終わりが来る前に、悔いの残らない選択を選んでいれたら、なんで思う
あなたのつまらないことでも
私がやっていると、嫌な顔を一つもせず、付き合ってくれる
あなたが嫌いなことでも
私が嫌がると代わりにやってくれる
あなたが苦しいことでも
私も苦しいとその苦しみから守ってくれる
あなたにばかり、無理をさせてる
だから
だから、私も一緒に抱えたい
一人で抱えることはできない、ごめんなさい
でも、二人で抱えることは、あなたを支えることは、できる
それならいくらでもやる
私が死んでも、あなたは死なせない
それが私でしょう?
「ありがとう」?
何を今更、そんなのこっちのセリフよ
これから私も抱えるから
あなたも辛かったら、私に寄りかかっていいのよ
て言うより、寄りかかりなさい
命令よ
私はあなたの椅子になるし、ベッドになるし、サンドバッグになる
そのくらいの覚悟は持ってるのよ
そうじゃなきゃ、妻なんて、やってらんないわよ
愛してるわ
あなたが眠ってから、どのくらい経っただろう
このままあなたがいなくなってしまうんじゃないかって、何度考えたことか
怖かった、悲しかった、寂しかった
そのくらい、あなたが大切になってた
この病院に入院して、話し相手もいなくて、毎日が退屈だった私に、いろんなことを教えてくれたあなた
警戒心むき出しの私に、ゆっくり、私が怖がらないように距離を詰めてくれて、優しく話しかけてくれたあなた
どんな病気なのかは教えてくれなかったけど、それ以外のことは全て教えてくれた
外の世界のこと、社会情勢、天気とか、小説とか、あなたのこととか
歳の差は10歳もあったけど、私はあなたに恋をした
私は15歳、あなたは25歳、誕生日はあなたが一日遅い
小さい頃から入院してた私は、生まれて初めて友達ができて、その人に恋をした
そんな私の気持ちに答えてくれたあなたは、指輪も買ってくれて、婚約といった
とても嬉しくて、言葉にできない喜びを覚えた
その1ヶ月後、あなたは倒れて、その時から三年が経った
私は19歳、もう結婚もできるし、長い入院からも抜け出した
あなたは29歳、あなたがここに来てから五年が経った、婚約は今年の約束
「起きて…」
ほとんど聞こえないような、掠れた声であなたの額に口付けをする
ぎゅっと、手を優しく包み込むと、あなたの細くなった手を感じて、涙が流れる
みてられなくなって、俯くと、誰かが私の頬を撫でた
ぱっと顔を上げると
「ただいま、ごめんな、心配かけて」
あなたの優しい微笑み
病室で一人
この白い空間には、私以外、誰もいない
泣きそうになるような静寂に、一定の間隔で電子音が響く
温度も、湿度も、明るさも、全てが自分にとってちょうどよく、それがなんだか無性に寂しく感じる
窓の外に広がる、夏の青い空は、私のことを目にも止めず、そこに広がっている
深く、碧い木の葉は、蝉の合唱に合わせて、わさわさと踊っている
そんな綺麗な景色を、ずうっとみている
ーーーそんな、想像のお話
騒がしいのが嫌だ
同調しなきゃいけないのも嫌だ
自分が押し潰されるのも嫌だ
笑わなきゃいけないのが嫌いだ
責任を負わされるのも嫌だ
全部、複数人でいると発生することだ
だから僕は、一人でいたい
なのに、一人のことを「ぼっち」とか、「孤独」とか、世の中であまり良いイメージを持たれない言葉で表してくる
そのせいで、群れてる奴らに馬鹿にされる
クソが