あなたが眠ってから、どのくらい経っただろう
このままあなたがいなくなってしまうんじゃないかって、何度考えたことか
怖かった、悲しかった、寂しかった
そのくらい、あなたが大切になってた
この病院に入院して、話し相手もいなくて、毎日が退屈だった私に、いろんなことを教えてくれたあなた
警戒心むき出しの私に、ゆっくり、私が怖がらないように距離を詰めてくれて、優しく話しかけてくれたあなた
どんな病気なのかは教えてくれなかったけど、それ以外のことは全て教えてくれた
外の世界のこと、社会情勢、天気とか、小説とか、あなたのこととか
歳の差は10歳もあったけど、私はあなたに恋をした
私は15歳、あなたは25歳、誕生日はあなたが一日遅い
小さい頃から入院してた私は、生まれて初めて友達ができて、その人に恋をした
そんな私の気持ちに答えてくれたあなたは、指輪も買ってくれて、婚約といった
とても嬉しくて、言葉にできない喜びを覚えた
その1ヶ月後、あなたは倒れて、その時から三年が経った
私は19歳、もう結婚もできるし、長い入院からも抜け出した
あなたは29歳、あなたがここに来てから五年が経った、婚約は今年の約束
「起きて…」
ほとんど聞こえないような、掠れた声であなたの額に口付けをする
ぎゅっと、手を優しく包み込むと、あなたの細くなった手を感じて、涙が流れる
みてられなくなって、俯くと、誰かが私の頬を撫でた
ぱっと顔を上げると
「ただいま、ごめんな、心配かけて」
あなたの優しい微笑み
8/4/2024, 8:59:43 AM