君の仕草
考えるときに、右手の人差し指と親指の腹を擦る
深く考えてるときには、それが大きくなって、瞬きも増えて、その仕草が、妙に色っぽくて、ドキドキしてた
君の香り
なんの香りかは分からないけど、甘い、フローラルな香り
その奥に見える、君の自身の香りと、女の子の香り
それが香るたび、僕の頭に殴られたかのような衝撃が走った
君の好きなもの
君自身がかっこよかったけれど、君の好きなものは、可愛いもの
可愛い服を着て、可愛いアクセサリーをつけて、可愛い人形を集めていた君が、どうしようもなく可愛くて、愛おしかった
多分この先生きていく中で、忘れることなどできない
新しく好きな人ができても、もう少しで死ぬとわかっても、忘れられない記憶となっている
だって君は、僕の愛した人の一人で、どうしようもなく愛していたから
記憶の中のどこかには、いつも君がいる
だから、忘れられない、いつまでも。
一年後には、僕らは一緒にはいなくて
三年後には、みんなとの思い出も薄れてきて
五年後には、もうほとんど忘れてしまって
十年後には、それぞれの人生をまっすぐ見据えてる
こんなに短い時間だけ、一緒に過ごす仲間
その仲間の中に、どんな意味を見出せるか
その仲間の中で、どんな「今」を過ごすのか
一年後の自分が、後悔しないように
一年後の自分に、悔いの残らないように
今もすぎてく時間を過ごそう
明日世界が終わるなら
君と今日の晩御飯を考えよう
今夜は何食べようって。
ニュースで言ってる、「今日で世界は終わります!しかし、助かるかもしれません!逃げてください!」
そんなことは無視だ。ぷつりとテレビを消してしまおう。
最後の晩御飯。贅沢をしようか。
高いお酒に、高いグラス。贅沢な料理を食べきれないくらい出して。
いい感じにお酒が回ったら、君の手を握って、君を見つめて、キスをして、抱きしめて。
そのままソファに倒れ込んで、君と愛し合おう。
そして愛を囁き合う。この世界が終わっても。もしも生まれ変わっても、僕は君だけを愛すると。君は僕だけを愛すると。
空が赤く染まる。雲の隙間から、真っ赤な岩が降ってくる。
それを眺めながら、僕らは、長く、短く、熱く、切ない。一生分の口づけをした。
天が落ちる。世界が白く染まる。
その日、地球は粉々になり、ニンゲンという生物は、この宇宙に存在しなくなった。
しかし、魂は彷徨い、別の世界を求める。
僕は、愛する人と共に、別の世界へと旅立った。
君と出逢って
ふと目を上げた、その瞬間
君と出逢った
目が合った瞬間に、火花が弾けて、
君の目も輝いて、
君がとても美しくて、
とてもこの世のものとは思えないくらいに、輝いてた
そこから声をかけるのは、同時だった
君も自分も、「運命」だと、そう思った
そこから距離が縮まるのには、そう時間が要ることではなかった
「ーってのが出逢いね」
今でも友達に、自慢の妻との出逢い話をする
あの時の瞬間は、間違いなく自分を変えるものだった
あれがなければ、今の自分はないだろう
あの瞬間と、君との出逢いと、君自身に、感謝を
耳を澄ますと、いろんな音が聞こえる
風の吹く音
川の流れる音
鳥の鳴く音
草木が揺れる音
田んぼで動く機械の音
道路を走る車の音
子供達が笑う音
石が転がる音
空の音、雲の音、大地の音、生命の音
一番近くで聞こえるのは、どくんどくんと言う、命の音
僕がすぅっと息を吸えば、どくどくと、少し早く
僕がすぅっと息を吐けば、どくんどくんと、少し遅く
僕が生きてる音がする
命が生きてる音がする
僕が生きてる証を、君が生きてる証拠を、「きく」ために、
今日も僕は耳を澄ます