私と君の、二人だけの秘密
私が隠してる、本当の私
君が隠してる、本当の君
ある日、お互いがそれを知ったことで、今まで接点のなかった二人が、急接近した
この世で本当の自分を知っているのは、君だけ
そんな二人は、今日も言う
「もし、秘密を言ったら、お前の秘密を言いふらすからな!」
「そっちこそ!私の秘密を言ったら、あんたのを言いふらすから!」
これはまだ小学生の頃、初めて人の弱みを握って、握られた時間
脅し合いが始まって、それは社会人になり、結婚してからも、続いていた
優しくしないで
優しくしないで。
そんなに優しくされると、ダメだよ。
ダメだって。なんで毎日優しくするの?
ダメだよ。優しくしないで。
なんで優しくしてくれるの?
もう関わっちゃいけないよ。
これ以上優しくするとダメなことになっちゃうから。
あーもう。ダメだって言ったのに。
また1人、私を好きに「なっちゃった」。
私はもう、心に決めた人がいるのに。
もうこれで、何人目だろう…。
楽園
楽園に行きたい、楽園で暮らしたい、みんなこう言う
実際、楽園って何処なんだろう
何処にあるのかわからない、何処に行けばいいのかわからない
そんな場所に、なぜみんな憧れを持つのだろうか
実際存在するのか探して、楽園を求めて彷徨って
見つからなかったらどうするのだろか
「楽園なんて探さなければよかった」
「見つからなかった…けどしゃーないな」
どう、思うのだろうか
人は、楽園のように、実在するのかどうかわからないものを考えて、追い求めている
天国、地獄、楽園、神、UMA、
それが、なんの意味があるのか
それらを考えて、追い求めて、なんの意味があるのか
僕にはわからない。
だって、今この普通に過ごす時間が、「楽園」だから
暖かい春一番
びゅうびゅう、ガタガタ、吹き抜ける
柔らかい春の雰囲気とは違う、激しく強い風
油断したら飛んでいってしまいそう
せっかく咲いた桜の花も、春一番に飛ばされる
舞い上がる桃色の花びら
強く吹き荒れる桃色の春一番
風に乗って、空高く飛んでゆく
ふと前を見ると、桃色の風の向こうに、君が見えた気がしたが、一際強い風が吹き、桜が目の前を隠した後
君の影は消えていた
空に舞い上がる桜吹雪
僕の想いものせて、君のところへ登る
今の一瞬を過ぎる時間。君と見つめるこの時間。
今も、また今も。過ぎる時間は止まらない。
誰だろうか。その一瞬のことを、「殺」に「那」と書いて、刹那と言ったのは。
「殺」はわかるだろう。そのままの意味だ。
「那」は、美しいや、豊かな、と言った意味がある。
美しさや豊かさを、殺す。
なぜ、そんなような言葉を使ったのだろうか。
不思議だ。
刹那、刹那、刹那。
今も刹那だ。
僕らは、刹那を生きている。
美しさや、豊かさを殺しながら、生きている。