君とこの部屋 2人ぼっち
いつもは広い 今は狭い
大きいソファに 詰め座る
肩を並べて 末永く
君とこの部屋 2人ぼっち
今起きていることが、夢だとは分かっている。
夢はいつか、醒めるものだ。
君がいる。隣に座って、僕によりかかって。
幸せそうに、笑って。君がいる。
もう、この世界にいるはずのない君が、隣にいる。
この夢が醒める前に、何をするのが正解?
まぁ、どうでもいいかぁ。この時間を、幸せに暮らせばいい。
『それでいいよ』
目が覚める。耳元で、君がそう囁いた気がした。
隣を見ても、外を眺めても、君はいない。
でも、言っても傍にいる。気がしてる。
これも、夢なのかなぁ。
君といると、胸が高鳴る
なぜかは分からないけど、悪い気はしない
これが恋というのかは分からない
自分でもなんだか違う気がする
でも、ほかの何と言われると分からない
この胸の高鳴り、大切にしていこう…
不条理
この世は不条理だ。
僕も、君も、社会も、世界も、全て不条理。
そんな世界で、君はどう生きる?
君だけの生き方をするのか?
周りに合わせて息をするのか?
どんな生き方をしようと、君の勝手だ。
僕には関係ない。
君が生きる選択をしても、死ぬ選択をとっても、
僕には関係の無いことだ。
でも、頑張らずに死ぬなよ。
頑張らなきゃ、生きることも出来ないし、自分の生き方を出来やしない。
頑張らなきゃ、やってらんねえんだよ。
何もせずに死ぬのは簡単だ。
でも、頑張ってから死ねよ。
頑張って頑張って頑張って頑張って、そしてから死んでくれ。
この不条理な世界で生きることは、とても大変で、頑張らなきゃいけない。
だから、頑張って、頑張って、頑張りきってから。
「あぁ、頑張ったんだ俺」
って、思えて死ねるようにしろよ。
じゃ、頑張れよ。お互いにな。
泣かないよ、これが最後だとしても
あなたが笑うんだから、こっちも笑わなきゃ
あなたを悲しませないためにも、笑っておくらなきゃ
滲む視界、頬を伝う涙、人にしては冷たいあなたの手
「えらいな…」
掠れた声と、震える手で頭を撫でながら褒めるあなた
その声が、弱々しく、優しく、消えてしまいそうで
その手が、細く、柔らかく、冷たくて
「げんきで…くらすんだよ…」
笑うと細まる、あなたの目
そこから流れる綺麗な宝石がひとかけら
それを見ることしかできない
「ふふっ…だいじょうぶ、君なら…」
不安を読み取ったのか、あなたは励ましてくれる
「さいごに…頼んでもいいかい…?」
こくこくと頷く
それを見てあなたは言う
「きみのこえを…きかせてくれないか」
何を言えばいいのか、思いつかないが、今思っていることを、行動と言葉で示そうと思ったのは、無意識であった
「ッ…愛してるッ!あなたが逝ってしまっても、わッ、私は、あなたを愛してるからッ!」
そう言いながら、口付けをした。
1秒にも満たない、一瞬
あなたは驚いた顔をしていたが、顔を離すと、優しい笑顔で、私を見ていた
「ありがとう…ッ…僕も、君のことを…」
ゲホッゴホッ
と、辛そうに咳き込むあなた口からは赤い液体が垂れている
ベッドを囲むみんなが近寄る
口々に声を上げるせいで、静かだった病室は、騒々しくなった
しかし、あなたは私を、最後の力を振り絞り、細い腕で抱き寄せて、耳元で囁く
『愛してるよ、今も、あの世でも、来世でも』
その声は掠れて、本当にその言葉が出たのかはわからない
だけど、そんな気がした
騒がしくなった白い部屋には、たくさんの人の声と、高い電子音が響いていた
あなたという存在がいたことが、嘘のように