空蝉

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9/19/2024, 2:50:02 PM

時間よ止まれ

あれほんとに止まっちゃったな。
午後4時42分を指したまま動かなくなった
時計の針を見て少年は焦る。
さてどうしようか、少年は考える
ここは少年の教室、放課後だから誰もいない。
少年と1人の少女を除いて。
どうやら今から帰るようだった少女は、
カバンを両手に持ち今にも立ち上がりそうである。
さて、問題は少年がこの少女に好意を寄せているということ。
もし好きな子と2人きりの時に偶然時が止まったとしたら、
人間は一体どんなことをするだろうか。
人に言えないようなムフフなことをするか、
否。この少年は超絶ビビりである故、
そのような事をする勇気などない。
しかしこれは一世一代のチャンス。
これを逃せば少女に触れることは二度と無い絶対に無い。
意を決して少女に手を伸ばす。
絹のような黒髪に手が届きそうになる。
綺麗だ、不覚にも少年は思う。
だが遂に少年が少女に触れることは無かった。
少年は伸ばしていた手を戻して、
まだ動かない少女を残し教室から出ていった。
その後少女との関係が特段変わることは無かった。
当然だ元々あまり話したこともない。
それでも少年はただ恋をしていた。

9/18/2024, 4:32:37 PM


夜景

夜の風景ってキラキラしてる。
夜更かしに一々わくわくするほど子供ではないが、
これから先、決して飽きることは無いだろう。
ベランダで煙草を吸いながらそんなことを考える。
けれど、大人になりきれない僕には、
肺に入ってくる煙が重くていっつもむせる。
まだ短くない煙草を灰皿に押し付けながら
遠いビル群の煌々とした光をぼーっと眺める。
こうして夜景を見ていると落ち着くと共に、
なにかこう、よく分からない形容し難い感情を抱く。
僕はもういい歳をした「大人」というものだと思うけど
この気持ちの名前をまだ知らない。
だけど、僕はいつも思う。

このまま夜にいれたらな。

なんだか今日はやけに煙が目にしみるなぁ。
殆ど泣きそうになりながら僕は思った。


9/10/2024, 3:11:42 PM



半年ぶりの散歩

高架下に漂う煙と煙草の匂い

あいつから貰うセッタ

ライターはガス切れ

仕方なく口元から奪う火種

クラクラする14ミリのタール

少し肌寒い帰り道

拭えない喪失感

とほんの少しの寂寞

夏が終わる


9/1/2024, 3:14:43 PM

開けないLINE


僕は弱いからいっつも逃げてばっかで
なんにも知りたくないから
君の最後の言葉からも逃げて
そうやってずっとずっと逃げて
この先も一生開くことの出来ない君のLINE
それなのにもう届かない君からのメッセージを
僕は何故か待ってる

8/30/2024, 3:59:03 PM

お願いです何も告げないでください。

これ以上踏み込まないから、 何も聞かないから、

傍に居させてください。

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