空蝉

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時間よ止まれ

あれほんとに止まっちゃったな。
午後4時42分を指したまま動かなくなった
時計の針を見て少年は焦る。
さてどうしようか、少年は考える
ここは少年の教室、放課後だから誰もいない。
少年と1人の少女を除いて。
どうやら今から帰るようだった少女は、
カバンを両手に持ち今にも立ち上がりそうである。
さて、問題は少年がこの少女に好意を寄せているということ。
もし好きな子と2人きりの時に偶然時が止まったとしたら、
人間は一体どんなことをするだろうか。
人に言えないようなムフフなことをするか、
否。この少年は超絶ビビりである故、
そのような事をする勇気などない。
しかしこれは一世一代のチャンス。
これを逃せば少女に触れることは二度と無い絶対に無い。
意を決して少女に手を伸ばす。
絹のような黒髪に手が届きそうになる。
綺麗だ、不覚にも少年は思う。
だが遂に少年が少女に触れることは無かった。
少年は伸ばしていた手を戻して、
まだ動かない少女を残し教室から出ていった。
その後少女との関係が特段変わることは無かった。
当然だ元々あまり話したこともない。
それでも少年はただ恋をしていた。

9/19/2024, 2:50:02 PM