突然の君の訪問
やあやあ。と言いながら入ってくるこの人は
今日も靴を脱ぎ散らかして無遠慮に狭い部屋を占領する
隠す気もない首元の跡がちらちらと目に痛い
思春期を舐めないでほしい。
ふらふらした足取りが心もとない
かなり酔ってるみたいだからコップに水をついで持っていく
あれ消えた。あぁタバコか。
どうやらベランダに移動したようだ
タバコの煙と共に肺を侵食するのはいつも違う香水
今日は渋めだ
僕ではない誰かの残り香
もう慣れたと思っていたけれど、
風が吹く度、鼻を掠めるそれは僕をひどく淋しくさせる。
この人にとって僕ってなんだろう。時々考えてしまう。
「たまに面倒みてやってる子供」とかかな。
自分でも子供じみてると思う。
この気持ちだって子供が大人に憧れる
思春期特有のあれなんだろう
認めたくないけどきっとそうなんだと思う。
どうせ僕は子供だから難しいことはよくわからないけど、
ただ、タバコを吸うこの人の横顔を許される限りずっと
見ていたいなって僕は思う。
8/28/2024, 4:28:13 PM