空蝉

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6/29/2024, 1:29:39 PM

『 入道雲 』


暑かった。とにかく暑かった。
梅雨が明けたばかりだというのに蝉は鬱陶しい程
鳴いていて、アスファルトには影の下まで辿り着けなか
った悲しいミミズ達がそこかしこに転がっていた。
空にはでっかい入道雲。
雨降ってくるんかなー。と呑気に思いながら、
ふと思ったことをあいつに言った。

「なぁ、俺達夏はもういいが、会わなくて。」

「なんでさ。これからなのに。」

「いや、夏だからさ。」

「あーまぁそうか。」

「うん、じゃ。」

ほら、あっさり了承する。あいつはそういう奴だ。
夏だからという言葉に明確な理由が俺にはあるが、
普通は意味がわからないだろう。夏だからなんだよ。

俺達は週の半分は会うような仲だった。
いや、ただ沢山会うだけの、それだけの仲だった。
俺達の絆は堅い様で、あまりに脆かった。
俺達の関係は綺麗なようで汚く、色褪せていた。

今でも入道雲を見ると、
その姿とは似ても似つかないあの頃の2人を思い出す。





6/28/2024, 3:17:41 PM

あれから三度目の夏
君は二度と戻らない

6/27/2024, 5:36:17 PM



小さい頃からずっと見ていた夢があった。
一日中お祭り騒ぎで何処からも祭囃子や太鼓の音が
聞こえてきて人がいっぱいいて、とにかく楽しかったし
幸せだった。大好きな夢だった。
最近はあの夢をまるっきり見なくなってしまったせいか
無性にあの夢のあの場所に行きたい。
昔のことでもうはっきりと覚えてはいないが、
少なくともここではないどこか。


6/26/2024, 2:03:06 PM


最後になると分かっていれば
尤もらしい別れを告げたのに
「また明日」なんて馬鹿みたいに
言うことは無かった
あの日、無邪気に遊ぶ君の
いつもより少し寂し気な顔に
僕は気づけなかった
人間とは愚かなもので
明日は当たり前にあると
当たり前に思っている
僕も思ってたんだ
次もあの子に会える。と
そんな思いとは裏腹に
君はいなくなった
幼すぎた僕を置いて


君と最後に会った日


6/24/2024, 1:18:52 PM




1年後はどうなっているだろう

隣でうたた寝している彼女を見て思う

中学の時に仲良くなってもう10年近く経つ

僕達の関係は「親友」とでも呼ぶのだろうか

少なくとも彼女はそう思っているだろう

月に数回こうしてどちらかの家で映画を見る仲だ

彼女は大抵映画の途中で寝てしまうが

今日も彼女の寝顔を見て

癒されると共に胸がたまらなく苦しくなる

彼女とどうこうなりたいわけではない

もちろん彼女の事はすごくすごく好きだが

それ以上に彼女の事を大切に思っている

ずっと彼女の傍にいられるのなら

一生このままでいいと、僕は思う


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