文月

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1/17/2026, 7:39:05 AM

『美しい』

眠っているときの、彼の顔がいちばん美しい。

最近流行りの美容男子で
お風呂上がりには欠かさずパックをする人だ。

そっと覗き込むと、
きめ細かい肌に長いまつげ、
高くまっすぐ通った鼻。

角質ケアを怠らないせいか
唇までなめらかで、思わず見入ってしまう。

敏感肌で乾燥肌の私からすれば、羨望のかたまりだ。

起こさない程度に鼻をつまんでみたり、
ウインドチャイムみたいに
まつげを指でそっと揺らしてみたり。

小さな意地悪をしても、彼は眠ったまま。

でも、この美しさは偶然じゃない。

毎日の手入れを続けてきた
その努力の結果なのだろうと思う。


…私も、負けずに飽きずに頑張ろう。

1/9/2026, 11:24:52 AM

『三日月』

年末の仕事終わり、
職場を出たとき
夜空に三日月が浮かんでいた。

凛とした光があまりに綺麗で
疲れ切っていた心と身体が
すっとほどけた気がした。

気づけば足を止め
ただ黙って三日月に魅入っていた。

なぜか
あれほど大変だった仕事の疲れは
いつの間にか
夜空の奥へ吹き飛んでいたのである。

1/9/2026, 3:00:01 AM

『色とりどり』


お花の写真を撮るのが、日常である。

お花といえど、種類はさまざまで
すべてが好きというわけではない。

たくさんの花が咲き誇る花木や、
人の手で整えられた美しい花ではなく、

自然の力で育ち、
人間の手がほとんど入っていない草花が
私は好きである。

どんな地に行っても
たくましく生えている
色とりどりの草花。

季節ごとに表情を変える、たんぽぽ。

子どもの頃、
登下校の途中で蜜を吸っていたホトケノザ。
音を鳴らして遊んだ、ペンペン草。

それらが
大人になった今
七草の一つだと知ったとき、
小さな驚きが胸に残ったのである。

そんな色とりどりの草花を見ると、
心が踊り、朗らかになるのである。

12/4/2025, 10:37:19 AM

『秘密の手紙』

机の引き出しの奥に
薄い青色の封筒が眠っている。

毎年、誕生日が近づく頃、ふと思い出す。

封筒の表には、達筆な文字。

あの日、私の心を何度も締め付けた筆跡
破らないよう慎重に開くと
折り目が増えた便箋が現れる。

『 文月へ

誕生日おめでとう。
いつも僕の話を聞いてくれてありがとう。
しんどい時、支えてもらってるよ。

君が笑ってくれると、俺も頑張れる気がします。
これからも、よろしくね。

大好きだよ、〇〇より。』


読み返すたび、胸がじんわりと温かくなる。
あの頃はとても幸せだったな
と読むたびに噛みしめる。

「もしかしたら」と期待して、
手紙の意味を何度も探して
結局、気持ちは伝えぬまま、時間だけが流れた。

今の私たちは、友達だ。
恋人ではなく
理解者として並んで歩ける距離に落ち着いた。

それを寂しいと思う日もある。
でも、この関係が心地よいと思う日も増えた。

私は手紙をそっと封筒に戻し、引き出しを閉めた。
あの頃の想いも、悩みも、ぜんぶ一緒にしまいながら。

でも、これは私の小さな宝物だ。
他の誰も知らない、二人だけの秘密の手紙。
今は友達として隣にいられる幸せを噛みしめる。

手紙に宿った淡い恋は、今も消えてはいない。
けれどそれは、そっと心にしまっておく。
これからの私たちのために。

12/3/2025, 2:11:07 PM

『冬の足音』


雪が降り積もった日は、
胸がそわそわして落ち着かない。

子供の頃も
そして大人になった今も
その気持ちは変わらない。

私の住む地域では
雪が降ること自体めったにない

だからこそ、
白い世界が広がる朝は、特別な日になる。

玄関を飛び出すと
足の下で「ギシギシ」と雪が小さく鳴る
その音を聞くだけで
冬がやって来たのだと実感する。

気づけば手袋も忘れ
冷たさに指先がじんじんしても構わず
私は雪を丸めて転がす

大きくなっていく白い球に、頬が緩む…

時間なんて気にしない

子供のように夢中で遊び、
雪だるまを作り上げる頃には
手も顔も真っ赤になっている

それでも笑いがこぼれてしまう

年齢を重ねても
この気持ちは薄れなかった。

雪が降った日だけ現れる私の小さな冒険
ギシギシと響く冬の足音は
いつまでも忘れたくない私の宝物だ。

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