君からのLINE
LINEやってないので思いつかず
命が燃え尽きるまで
「この命燃え尽きるまで、お仕えします」
「いや、重い重い。何時代の武士だ」
目の前のやたら図体のデカイ男はそれこそ切腹せんばかりの面持ちで頭を下げる。事実そんな大袈裟なものではないのだ。弁当も財布も忘れ、体育後だというのに飯にありつけない、腹を空かした哀れなクラスメイトに昼飯を奢っているだけなのだから。
悲痛な面持ちの割に、大柄な体躯に見合う大盛りを遠慮なく注文したのは本日転校してきたばかりの杉田春雄。当然まだ、お金貸してとたかれる相手も昼飯をねだれる相手もおらず、腹の虫を鳴らしていたのを見かねて食堂へ連れてきたのだ。まぁ委員長だしなー、とりあえず面倒みとかないと。
杉田は以前の学校で柔道をやっており、ここでもやはり柔道部に入るつもりらしい。ただ我が校は柔道強豪校であり入部にも試験がある。空腹の状態では試験どころではなかったという。
「本当に助かった、委員長」
「まだ入部してないからな。あと名前、渋谷夏樹だから」
「普段通りの状態なら受かる」
それだけの実力はあるのだと豪語する男は、大盛りにデザートまで遠慮なく付けただけあって肝が据わっている。
ちなみに。春雄と夏樹、あと秋田と冬馬というクラスメイトもおり、何だかんだつるむようになり、後に春夏秋冬なる会社など立ち上げ、命燃え尽きるまで命運を共にする関係となるのだった。
夜明け前
夜明け前の澄んだ空気がいいとか、明るくなっていく空がキレイだとか。そんなのは充実した睡眠をとった者が言える言葉だ。こちとら寝不足、白む空を恨めしく見やる。
本気の恋
本気の恋なんかしたことない
何なら「恋」もしたことない
単純に 好き嫌いはある
でも恋とは? はたまた愛とは?
自分には理解出来ない感情だ
本気の恋をしたことないから分からない?
いやいや。この先も分かる気がしない
だから旦那にも何の感情もない
カレンダー
9月ともなると店先には早くも来年のカレンダーが並べられる。卓上型から壁掛け用、はたまたミニチュアのようなものまで多種多様。見てるだけでも楽しい。
毎年卓上型を購入しているため早速物色。ネコちゃんやワンちゃん、ゆるキャラもの、ジャンルはこだわり無し、その時の気分だ。
よし、来年度はこの子ネコちゃんにしよう。決めては自分の誕生月の子ネコがめちゃくちゃ可愛かったから。私のカレンダーを選ぶ理由はそんなものだ、実用性とか考えてない。
そうして購入したカレンダーを持ち帰り、使用するまではまだ数ヶ月あるため一旦仕舞う。ふと棚に置かれた今年のカレンダーのネコちゃんと目が合う。あ、今年もニャンコだったか。いや、それよりも。
愛くるしい真ん丸なお目目のネコちゃんがいるのは7月。おぅ…。役目を終えてなお一月以上、健気なネコちゃんはつぶらな瞳を向けていてくれたらしい。
ありがとう、お疲れさま。長い間飾られていたカレンダーを捲る。日の目をみなかった8月のネコちゃんもきちんと拝む。君もキュートだよ。
そしてようこそ9月のニャンコよ。
毎年カレンダー買うけど、カレンダーとしての役割はほぼ果たしてないな~。来年はせめて毎月捲ってあげよう。
そう決意するも年末には既にカレンダー購入済という事すら忘れ、新たなカレンダーを買ってしまう。そんな未来が浮かぶ。