貝殻
雲一つない快晴、夏休みも半ば、まさに海水浴日和。地元の海水浴場はどちらかといえば家族向け。県内外から人が集まるほどの有名どころではなく、あくまでも地元民の遊び場。だからか、自虐するワケではないが立てられたパラソルも敷かれたレジャーシートもおとなしめな気がする。
そんな中、前方に異質な光景を見つけ足を止める。
真っ白なでっかい貝殻。目に眩しいラメ入りのそれは貝殻モチーフの浮き輪。周りから浮きまくる派手な貝殻に寝そべる女性。どこの場違いなパリピだと顔を拝んでやろうと目をやり。
げ。
思わず回れ右をする。目立ちまくる好奇な視線に晒されているのは同級生、もとい待ち合わせの相手だった。
「アキラ、おっそーい!」
逃げることは間に合わず、他人のフリもさせてもらえず呼びつけられる。
「サクラ、何だよコレ」
「いいでしょう~。楽天スーパーセール」
いやソコじゃない。
「こんな田舎の海でこんな目立つモン持ってきやがって」
「いいじゃ~ん、ひと夏の思い出だよ」
楽しそうに笑うサクラの髪は休み前は黒だったのに今は明るい色に染められている。おそらく本当にひと夏のハメ外しで新学期にはまた見慣れた姿に戻るのだろう。
まぁ夏だしな。
ただ。
「これは、ひと夏の思い出にするなよ」
持参したサクラ色の貝殻を模したイヤリングを差し出す。
きらめき
おぉ、これはこれで中々…。眼下に広がるきらめきを眺める。
俺の故郷は田舎である。それでも一丁前にデートスポット的な高台がある。数年振りに眺める灯りはあの頃よりも明るさもきらめきも増してる気がする。いいムードを醸し出す恋人たちや、はたまたヤンチャな走り屋よりも眺めのいい場所に佇む。こんな所に男一人、哀れと思うならこの場所を譲れとばかりに強気に出る。ちょっと怖いお兄さん方が来たらすぐさま退くけど。
仕事でやらかし、思わず逃げるように車を走らせ数時間、気付けば懐かしい高台まで来てしまった。どこぞで紹介されるような華々しい夜景でもない、この頑張って発展してます感のあるきらめきが落ち着く。
さて。そろそろ横の恋人たちにこの場所を明け渡して。久方ぶりに口煩い実家へ顔を出してみようか。
些細なことでも
些細なことでも、相談してね。
そう言われ、実際ホントに些細なこと言うと、そんなこと仕方ないでしょ、って一蹴される。
だから何にも言いたくないんだよ
心の灯火
灯火…ともされた火、あかり。
私の心の灯火は、推し!大好きな推しの配信がある日は普段は憂鬱な仕事も頑張れる。万全の態勢で配信の視聴に臨むべく残業なんてもってのほか。
そうしてウキウキしながら配信を待つも、いつもなら時間通りに始まるそれがなかなか始まらない。少し遅れて画面に現れた彼はいつもの爽やかな笑顔がなく不穏な空気全開。
そうして開始された配信はやはりよろしくないもので。突然の引退宣言。不祥事云々かんぬん、今までありがとう云々かんぬん。まだまだ配信は続いているが。とりあえず。
私の気力は風前の灯火。
開けないLINE
出来る限り毎日投稿したかったけどLINEやってないから浮かばず。