アクリル

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8/25/2024, 3:01:59 PM

向かい合わせ


「意外と甘えたがりなんだね」

柔らかい声が心身を解いていく。

照れ隠しだとしても
音もなく後ろから羽交締めにするのは
流石にやめてほしいと
大事なあなたに言われてしまったから
勇気を出して、前から抱きついてみるなど...したのだ

「だめでしたか」

やはり恥ずかしさは消えなくて、あえてぶっきらぼうを演じた。

「いいんだよ」

あなたの返事はいつもシンプルだ。
だからこそ、逃げられない。
あなたの前では、心を隠せない。
こんな優しい人の前でなんて、隠す気にもならない。

晒させてください、これからもずっと。

8/24/2024, 5:48:06 PM

やるせない気持ち


ねぇ、生きさせてくれないかな
心を持つことを、諦めさせないでくれないかな

頼み事が多くてごめんね

半生で見つけた気づきも望みも
口に出したら消されてしまうことを学んだよ

手先が動かなくなるほど冷たい日に
存在そのものが許されないことを学んだよ

わかり合う世界を空想しながら眠りについて
怖い、と泣く夢を見て目覚めた時、息が切れていた

私は情けないから
大半が失望に埋まった脳を抱えて
まだ人生にしがみつくよ

4/30/2024, 9:52:32 PM

楽園


このガラスの向こうに
世界が繋がっているなんて
信じない

眩しい電灯も
眠りに誘うリネンの手触りも
全て私の認識だというのに。

えぐられてしまったのだ
守り続けていた何かが
ひび割れて、破片を持ち去られた

そのまま、変われないでいるのかと
呆れたような
見捨てられやしないというような
突き放しはしないだけの声が響く


置かれた場所で咲けやしない
それならば

私の桃源郷は

ここから再世される

4/29/2024, 2:58:01 PM

刹那


時計が鳴った時
私は去り際の一言を思い出した
雨が降っていた夜、二度と会えない人が
お別れにくれた言葉

「帰らないことを救いだと思って」

一瞬の曇った顔と
覚悟のある空気が
私を数センチ、押し離した気がした

これでよかったと
思える日まで
私はまた、明日を知っていく

4/27/2024, 10:52:44 AM

生きる意味


四季を感じて
暖かい寝床で寝る
美味しいお茶を淹れて
私にしかできない価値を与える
本質的な「仕事」をする

ひと休みをしよう
今日は散歩にでも出てみようか
5月の風がもう、すぐそこまで来ている

履きなれた靴が
履いている感覚もないくらいに馴染んでいる

歩けるありがたさ
こんなに綺麗な光景を見れるありがたさ

その恵まれた状況を味わい
遠慮なく受け取れる幸福を
忘れないように

心の赴くままに過ごして
気づけば夕方
あたたかい1日だった

そんな実感を得られる生活
毎日を大切に積み重ねて
より豊かな人間になっていく

より素敵になっていく

それだけで、十分な意味を持っている。


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