アクリル

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2/17/2023, 10:53:32 AM

お気に入り


登録も追加も必要ない 
些細なことをふたりで積み重ねたい
今日使った入浴剤の香りについて話して
一緒にお茶を飲みたい 

「湯呑み、どれがいい?」
「陶芸体験で作ったこれ!」

「いつものやつだね」
「うん、育ててるの」 

少し不恰好な湯呑みで
いれたてのお茶を啜った

「美味しゅうござんす」
「良きかな、ほな2杯目じゃ」

ふふ、と微笑む。
明日は何をしようか。

2/13/2023, 1:45:20 PM

待ってて


ふと目が覚めた。

どこか怯えをはらんだ手つきで
君が私のシャツを掴んでいた。
まるで子供みたいに
行かないで、って言いたげに
小さな顔を首元まで埋めて離れない。

さらさらとした髪をそっと撫でて、少し震えている体を受け止める。

「どうしたの」

しばらくして、掠れるような、小さな声が返ってきた。

「こわい夢、みた」

午前3時、朝はまだ遠い。

私はその細い体を毛布でふわりと包み、あやすように抱きしめた。

「ここにいるよ、次の夢で会いに行くよ」

2/10/2023, 2:02:02 AM

花束


泣くことに慣れたあなたへ
失うことに慣れたあなたへ
さようならに慣れたあなたへ

贈り物に乾いた気持ちを。
麻紐でまとめた
まとまりのないお祝いを。

2/7/2023, 1:11:48 PM

どこにも書けないこと


何も成し遂げられないまま
枯れて散っていく
それでいいと思っていた

それを許せなくなった
もっとまっすぐに生きたかった
やりたいことだってあった
欲しいものだってあった

隠してきた欲と  
大人ぶった仕草を

全て捨てて
思いのままに
生きていたい

2/6/2023, 1:08:40 PM

時計の針


耳障りだとも思わなくなった。

西日に照らされて
焼死体みたいになった私

生き残った時間を
音で実感する

規則正しく刻みながら
怠惰な私に語りかける。

「そのままでいいの?」

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