明日世界が終わるなら
人類は未来を予知する機械を作った。
その機械が観測した未来は全て外れないらしい。
そして数ヶ月後に、世界は終わると観測された。
数ヶ月後には世界が終わる。
突然告げられても、いまいちピンとこない。
人類は最初はその結果を信じることはできなかった、だが機械の精度を知っているからこそ、迂闊に否定することもしなかった。
原因を追求したそうが、隕石が衝突するわけでも、地震が起こるわけでもない、原因は不明らしい。
お金持ちなんか地球から脱出して違う星に移住したらしかった。
ラジオでも羨ましいともと言っていた。
いつも通り本を読んでる君に私は話しかける。
「ねぇ、数ヶ月後にさ世界が終わるじゃん」
『らしいね』
「だからさ、最後にさ何か思い出作りに行こうよ」
『わざわざ作る必要はなくないか?』
君は面倒くさ気に返事をする、でも君は何だかんだ私のワガママを許してくれることを知ってる。
「えー海行きたい!君と海行ったことないまま死にたくないよ」
『仕方ないな、じゃ近い海行こう』
「欲を言えば、めっちゃきれいな海がいい!」
『なら少し遠いところ行くよ』
読みかけの本を置いて、君は外出の準備を始めた。
君はなんだかんだで、やっぱりワガママを許してくれる。
『何してるの?早く準備しなよ』
私が幸せを噛み締めてると訝しげに君がみている。
急いで海へ出かける準備を始めないとな…
もしも明日世界が終わるなら、大好きな君と一緒に終われますように。
優しくしないで
君って罪な人だな。
その気がないなら、優しくしないでよ。
君が皆に優しいのは嫌というほど知ってるもん。
これ以上は苦しくなりたくないから、もうお願いだから関わらないで。
寝ても、覚めても君のこと考えちゃうんだよ。
君には自慢の恋人が居るんでしょ。
優しくして、美人で自分何か太刀打ちできない人。
勘違いしたくないから、優しくなんてしないでよ。
刹那
決闘無敗の記録を持つ男のもとに、一人男が決闘申し込んだ。
お互いボロボロ、俺はウデと頭を殴られている。
奴は目がやられているだけだ。
俺と奴は決闘だ。
勝っても負けても奴とはこれっきりだ。
俺が負ければ命はないだろう。
そして勝負は一瞬だった。
瞬く間もない程だ、気づけば自分は地に伏していた。
地面の草をみてあぁやられたのだと脳が理解した。
奴は剣の名手だ。
目をやられてた程度、対したことはなかったのだ。
奴は満足そうな顔していた。
どうせならトドメをさして欲しいものだ。
「なぜ慈悲をかける?」俺はやつに問うた。
『お前との勝負楽しかったからな、また戦おう』
と奴はふてぶてしく笑ったのだ。
「そうか、残念だかそんな日は来ないさ」
そう呟いた刹那、俺は影に飲み込まれた。
魔女の呪いだ、俺は負けた瞬間魔女に魂をとられる呪いを受けた。
魔女は気まぐれだ、人の困る姿を見るのが好きらしい。
俺が必死に足掻く姿を楽しんでみていたことだろう。
突然の出来事に奴の唖然とした顔見たとき、思わず笑わずにはいれなかった…
やつの記憶にはこの刹那のことが一生残るのだろう。
神様へ
拝啓私を作った神様へ
私はあなたのことが多分嫌いです。
何故こんな酷い世界に
送り出してくれやがったのでしょうか?
望まれて産まれた訳でもない。
必要とされなくなった私は一体なんでしょうか。
あんなに望まれて使われたのに。
知らないうちに忘れられ、気づけば何も無い静寂の中。
私が陽の光を浴びることはもうないのでしょう。
私を作った傲慢で酷い神様。
私はなんの為に作ったんですか。
水底にいる1円より
星が溢れる
幼馴染と星を拾う夢を見た。
どうやら星を拾えば幸せになれるというらしい。
君は星をいっぱい拾うのに。
私は拾おうとするのに、拾えない。
そのうち君は両手から嬉しそうに溢れるほど星を拾ったの。
「貴女にも幸せを分けてあげるね!」
私はなぜお前が如きに情けをかけられるのかと
悔しくて、悔しくて、思わず君を突き飛ばしたの。
すると、君は両手いっぱいの星を零したんだ。
君は突き飛ばした後、ピクリとも動かない。
『いつまで寝るの?』
私は君を起こそうとするけど、君は動かない。
変だなと思って君に近づくと、死んでいるようだった。
そして私は思ったんだ。
君が死んで良かったって、そしたらこの星は全部独り占
めできるんだ。
そして、君の死体を横目に自分の両手から溢れるほど星を拾った。
でも、たくさんの星を拾っても私は幸せにはなれなかった。