傲慢な王様が各地より集めた裁縫家達に言います。
「より希少で豪華な服を作ってまいれ」
実質王様の気分次第で変わる無理難題。
ある者は宝石をあしらい、ある者は金をあしらい、またある者は鶴の羽根で織られたという生地を使い。
そんな中1人、装飾が無い服を作った者が居りまして
「貴様、これはどういうことだ?」
「はい王様、こちら透明な羽根をふんだんに使用した服となっておりまして、特定条件下でのみその豪華さが現れるのです」
それを聞いた王様、ならばその特定条件下とやらを再現出来るかを問いますが、裁縫家はその条件を一切口にする事はありませんでしたとさ。
(透明な羽根)
裸の王様のオマージュ、透明だけど触った感触はあるので実体はあるようです。
「皆さん集まってください。あっ押さないで、見える所でお願いします。」
小さな女の子1人を囲んで街の人達が集まる。
「残り3本しかありません。失敗しないよう協力お願いします。では刷ります!」
女の子がマッチを刷って灯火を点ける。
そのあまりに小さい灯火を囲んで、街の人達はそれぞれにその火の中に美味しそうな料理を見るのでした。
(灯火を囲んで)
マッチ売りの少女のオマージュ、街中の人達も飢えているようです。
最近ちょっと肌寒いな。
動いている時は良いけど、止まると汗も冷えて寒く感じる。
そろそろ冬支度に替えた方がいいかもな。
(金)と書かれた腹掛けを脱いで、(金)と書かれた冬用のちゃんこを着る。
これで良し。
(冬支度)
金太郎のオマージュ、ちゃんこ着ても下はふんどしなので変わらないような?
このまま時を止めておいて。
そう言って姫様はイバラのお生い茂る城へと入っていった。
呪いを解くために訪れる王子様達さえ追い返して時を止め続ける。
(時を止めて)
いばら姫のオマージュ、城の中で何してるんだろうか?
散るのが遅れたキンモクセイがあると聞いてピクニックにやってきた。
確かにまだ少し咲いていたが、正直言って満開には程遠く、散った花びらの方が多い。
まぁ仕方ない。
ピクニックシートを広げバスケットからサンドイッチを取り出して、ポットから温かい紅茶をカップに注ぐ。
………。
ダメだわ。どうしてもトイレの芳香剤にしか思えない。
これじゃご飯どころじゃないわ。
帰りましょう帰りましょう。
イヤリングが落ちたことにも気付かない程度にがっくり項垂れテンションガタ落ち帰り道。
(キンモクセイ)
キンモクセイってトイレの芳香剤のイメージ、この後熊が出てきて踊るだろうけどそれはまた別のお話。