一年に1度天の川に虹の架け橋が架かる。
ただし数分だけだ。
その数分に間に行われる超急ぎのデート。
「織姫ぇ」
「彦星ぃ」
ドタバタドタバタ。
架け橋が消える前に戻れるでしょうか?
(虹の架け橋🌈)
彦星と織姫のデートのようす、もっと早くもっと早く。
『今日はどこに行きますか?』
『今日は何を食べますか?』
『今日は何を…』
『今日は…』
『今日…』
『今…』
あのな、交換日記を書こうとしてる横で即答しないで。
(既読がつかないメッセージ)
既読どころか隣に居るなら交換日記せんでもいいんじゃ?
目が覚める。
どこか重い身体を起こして少し伸びをする。
開け放たれた窓から見える山は所々紅葉が始まっているのか秋色を増やしていた。
「あれ?最後に記憶にあるのはまだ春先じゃなかっただろうか?」
という事は、だいぶ長い時間寝ていた事になる。
「んんん?確か、鬼を倒して打出の小槌で打たれて……ダメだ記憶が出てこない」
秋色の増える山を見ながらしばらく悩むのでした。
(秋色)
一寸法師のオマージュ、フルスイングゴーーーーン!!から秋になっちゃった。
「我が負けたら、後のことは貴様に任そう」
そう言って戦いに出ていったあの方の意志を継いで現在まで生きてきた。
が、それももう少しで終わりそうだ。
もしも世界が終わるならあの方から継いだ意志を次の者に託そう。
「我が負けたら、後のことは貴様に任そう」
(もしも世界が終わるなら)
勇者なのか魔王なのか、次へ継がれる意志はどこまで続くだろう?
おっと、靴紐が解けた。
しゃがみこんで靴紐を結び直す。
あ、反対側も直しておくか。
両方の靴紐をしっかり縛って立ち上がる。
ぁぁぁ、立ちくらみが。
何とか持ちこたえて上着を脱いで身体を冷やす。
何やら上で俺の勝ちだ!とか参った!とかうるさいが気にせずゆっくり歩く。
(靴紐)
北風と太陽のオマージュ、どうやら上着脱いだ理由は違うようですよ?