暑い暑い夏がもうすぐやってくる。
夏になったら相撲大会があるから今から特訓だと、森の熊相手に取り組みを何回もする。
森奥から響いてくる唸り声と身体が当たる音は村中に響き渡り、夏の気配を知らせる音として記録されるのだった。
(夏の気配)
金太郎のオマージュ、特訓しずぎて倒れないように注意。
「それじゃあ行ってきます」
そう父上様と母上様に挨拶して高速旅客船バンブーへ乗り込む。
『この度、高速旅客船バンブーへのご搭乗ありがとうございます。船長の■■■■です。出船前に今一度シートベルトの差し込みのチェックをしていただきますようお願いいたします。』
そうアナウンスが流れ、しばらくの後微かな振動をしだした。
旅客船が出船したようだ。
さぁ!まだ見ぬ世界へ!
(まだ見ぬ世界へ!)
かぐや姫のオマージュ、かぐや様地球へは観光目的だったバージョン。
「じゃあまたどこかで」
そう最後の声をかけて、それぞれがそれぞれに分かれ道へ進んだ。
カカシは右の道へ
ブリキのロボットは左の道へ
ライオンは真っ直ぐの道へ
私は…ちょっと待って?もう残ってないじゃない。
引き返す道もあるけど、それはなんかやだ。
ちょっとちょっとちょっと!!
(最後の声)
オズの魔法使いのオマージュ、歩いてきて交差点で別れたら誰か1人余るよね。
ちゅんちゅん飛んできた雀に餌の米を撒く。
水を入れた容器もそっと置き、縁側に座って、啄む様子をしばらく眺める。
小さな愛雀だ。
婆さんが緑茶を淹れた急須と湯呑みを持って来た。
あぁ、ゆったりした朝だ。
雀は満腹になったのか辺りを警戒しながらも飛んで行った。
(小さな愛)
舌切り雀のオマージュ、切られないバージョン。
空はこんなにも明るくて広いのに、自分はもう飛べそうもない。
王子様の像からメッキを剥がしたり、運んだりしているうちに重金属中毒になってしまった。
動こうにももう………
ん?んん?飛べる。あれ?飛べるぞ!
ああ空はこんなにも明るくて広いんだからどこまでも飛ばなきゃ!!
………………ところで、あれって自分の体だよね?
(空はこんなにも)
幸福な王子のオマージュ、もっとシリアスな最期のはずだったはずだけど。