片想い中の君の気持ちが知りたくて花の花弁を1枚1枚毟りながら「好き、嫌い、」と花占いをする。
隣でその様子を見ていた君が同じ様に花を取って言った。
「タンポポで花占いしようって凄いな。ところで、タンポポは舌状花って言って花弁1枚で1つの花で、その集合体がこの形なんだけど、やっぱり花占いに向いてないよ」
あー、君のそういう所が嫌い
(好き、嫌い、)
花占いはもうちょっと分かりやすい花でやりましょう。
あれは、数百年前の事じゃった。
儂は砂浜に打ち上げられた海亀を助け、その礼にと竜宮城へ行った。
そして陸へ戻ってきた時には…
そう言葉を詰まらせてお爺さんは涙を流した。
先程まで曇っていた空模様はお爺さんの涙に呼応するように雨の香りをさせ始めた。
お爺さんが手拭いで顔を拭く。涙の跡はもうそこにはない。
お爺さんは大事そうに玉手箱を手に取り、こう言った。
困った者を助けるにも相応の覚悟がいる事を忘れてはいけないよ。
雨は止みそうにない。
(雨の香り、涙の跡)
浦島太郎のオマージュ、お爺さんになった後のお話。
最近の天界では、地獄へ落ちてしまった者を蜘蛛の糸で釣り上げる遊びが流行っている。
以前、釣り上げている最中に糸が切れてしまい、大物を逃してしまった。
それから蜘蛛を育て強靭な糸を出せるようにした。
今日はその糸で挑戦してみる。
ちょっと待ってくんくんっと糸に振動が伝わる。
よしよし、釣れそうだ。
(糸)
蜘蛛の糸のオマージュ、ワカサギ釣りのイメージで釣り上げているようです。
またアイツ、塀を越えようとしたらしいぜ。
食堂で後ろからそんな話が聞こえる。
耳だけその方向に向けてちょっとしたラジオ代わりに盗み聞く。
塀の上に看守だっているし、そもそも塀が高すぎて届かないのによ。
ここに入れられる前に調べたんだけどよ。同じ高さの塀が3重に立ってるんだぜ?1個越えられたとしても無理無理。
っと、アイツこっちに耳向けてるぜ。
バレたか。
耳を元に戻す。
壁を越えたいのは俺だけか。
食事を終えて自分の独房へ戻る。
届かないのに…か。
俺はあの壁を越えて、食い逃した赤い頭巾の餌を食ってやるんだ。
(届かないのに)
赤ずきんちゃんのオマージュ、赤ずきんちゃんを食う前に捕まって刑務所に入れられたオオカミのようす。
秘密の洞窟はどこだ?
岩戸を開ける呪文は忘れていない。「ヒラケゴマ」だ。
だが、肝心の洞窟の場所を忘れてしまった。
おそらくこっちだったような?と歩いているが岩戸も洞窟も見当たらない。それどころか、砂漠に出てきてしまっている。洞窟があるのは海岸沿いだったはず?だよな??
記憶の地図を一生懸命に思い出そうとしているが、そこだけ切り抜かれたかのように本当に思い出せない。
(記憶の地図)
アラビアンナイト(アラジン)のオマージュ、洞窟の地図に呪文書いとけば良かったんじゃ?