罠にかかった鶴が目の前に居る。
去年もこの近くで鶴を助けた。
その後恩返しを受け、一時的に生活は楽になった。
「あのぉ、すみませんがまた罠を外してくださいませんか?」
やっぱり去年と同じ鶴だった。
運命の巡り逢いなのか今年も助ける事になった。
「正体バレてるし、今年は逃げないでもいいよ」
罠を外しながらそう言う。
今年も生活は楽になるだろうか?
(巡り逢い)
鶴の恩返しのオマージュ、〈2年連続罠にかかる〉実績解除した鶴。
打ち上げはどこ行こう?
居酒屋、レストラン、焼き鳥屋、家来る?
などなど、候補が上がる。
最終的には、食べ放題飲み放題の居酒屋に決まった。
桃太郎にお供達、鬼達に監督スタッフ大勢。
居酒屋に着く前から二次会はどこへ行こう?と議論が始まっている。
明日は二日酔い決定だな。
(どこへ行こう)
桃太郎のオマージュ、ドラマ撮影だったのかな?そんなに大勢で居酒屋行くなら前もって予約しとかないと。
鯛や鮃の舞い踊り、蛸と烏賊の軟体マジック、織姫様が無限に注いでくる美味い酒。
酔った勢いと周りの雰囲気に触発され、浦島太郎自ら一興立つことになりまして。
「どうです!このダブルバイセップス!!」
「これがサイドチェスト!!」
「決めポーズのモストマスキュラー!!!!」
漁師らしい鍛え上げられた筋肉を余すこと無く披露する浦島太郎。
「筋肉Big Love!」
と叫びにも似た自己肯定。
織姫様、筋肉に気圧されてちょっと引き気味で浦島の余興を見るのでした。
(Big Love!)
浦島太郎のオマージュ、脱いだらムッキムキだったようす。
「おばあさんの耳はどうしてそんなに大きいの?」
「なんだってぇ?もっと大きな声で言っておくれ」
「おばあさんの目はどうしてそんなに大きいの?」
「だからもっと大きな声で言っておくれ」
「おばあさんはどうしてそんなに毛むくじゃらなの?」
「大きい声で言えって言ってるでしょーが」
ささやき声の赤ずきん、結局おばあさんになりすましたオオカミに食べられちゃいましたとさ。
(ささやき)
赤ずきんちゃんのオマージュ、話す時は大きな声でゆっくりはっきりだよ赤ずきんちゃん。
大丈夫まだ明るいと、来た道を急いで戻る。
家までは残りおよそ8km程度だ。
星明かりを頼りにする前に何としても帰らなくては。
親友の命が掛かっているこの約束の為にずっと走って来た。
大丈夫、間に合う。
家の屋根が見えてきた。間に合う。
残りの力を足に集中させる。
日はまだ余裕だ。
家の前には大勢の兵士が並んでいる。
その先、玄関先に親友と王が立っている。
「約束通り、日が落ちる前に帰ってきた」
そう叫びながら玄関先まで辿り着く。
親友と王が目を丸くして驚いている。
「日暮れまであと2時間あるって言うのに早過ぎないか?」
早過ぎた。
走っている時はそこまで意識していなかった。
星明かりは全く必要ないままゴールした。
(星明かり)
走れメロスのオマージュ、早過ぎたもよう。