この殺風景な場所に御殿を建てろと?
ふむ、地盤は硬めだな。
なるべく重く耐水性と耐腐食性の強い建材が必要になるな。
設計図通りに行かない箇所が出てくるだろうが、潮の流れと潮の満ち干きになるべく対応する様にその場で変えるしか無いだろう。
そうして工事が始まり、数年の歳月を経て、元々岩と砂の殺風景な海の底に立派な御殿が出来上がった。
(風景)
浦島太郎のオマージュ、竜宮城着工から完成までの様子。
黒い狸の君は白い兎の僕を油断した目で見ていたけれど、腹黒さは君以上なんだよ。
君が知らずに背負った背負子はよく燃えるように松を多くしたし、火傷をおった君に届けた塗り薬はしみるだけでなんの効果もないし、君が知らずに乗った舟はすぐに沈むように細工した。
君と僕、僕と君、どっちが上手だろうね?
考えるまでもないかな?
だってもう結果は決まっているからね。
(君と僕)
カチカチ山のオマージュ、腹黒すぎる白兎のようです。
『ワタシ、メリーサン、イマ、アナタノ、ノウニ、チョクセツ、カタリカケテルノ』
そんな言葉がいきなり脳に響いた。
驚いて幻聴かどうか辺りを見回す。
『ワタシ、メリーサン、アナタノ、ユメヘ、トウジョウスルノ』
やっぱり脳に直接響いている感じだ。
夢へ?
『ワタシ、メリーサン、アナタノ、ユメヲ、アクムニ、カエルノ』
悪夢に…なら、やる事は1つしかないな。今日は完徹してやる。
『ワタシ、メリーサン、ユメへ、アクセスデキナイノ』
寝なけりゃいいんだ。寝なけりゃ。寝なけ………Zzz...
『ワタシ、メリーサン、ヤットネタノ、ユメへ、ハイルノ』
(夢へ!)
怪異メリーさんの新しいバージョンっぽい話。
「冬の夜に手袋売ってくれた優しいお店の人、元気かな?」
もう手袋が必要ない気温になって大事に仕舞おうとしながら呟いた。
「今度は帽子が欲しいな。あのお店にまた買いに行こうかな」
陽射しから守ってくれる帽子はどんなデザインがいいかな?と夜になるのを待ち遠しく思うのでした。
(元気かな)
手ぶくろを買いにのオマージュ、お店リピーターになりそうなようす。
あの方は100年を眠る呪いを受け静かに眠りについた。
眠りにつく間際に「100年後に起きたらまずはアナタ達の呪いを解くわ。約束よ」と言っていた。
100年は長く遠く、途中から数える者は居なくなっていた。
ただ1人、あの方の執事だけは数える事を止めていなかった。
「明日で1000年目か。いつになったら起きるのだ?」
呪いを解くという遠い遠い約束は未だ果たされていない。
(遠い約束)
いばら姫のオマージュ、寝過ごし過ぎてもう…なバージョン