黒い狸の君は白い兎の僕を油断した目で見ていたけれど、腹黒さは君以上なんだよ。
君が知らずに背負った背負子はよく燃えるように松を多くしたし、火傷をおった君に届けた塗り薬はしみるだけでなんの効果もないし、君が知らずに乗った舟はすぐに沈むように細工した。
君と僕、僕と君、どっちが上手だろうね?
考えるまでもないかな?
だってもう結果は決まっているからね。
(君と僕)
カチカチ山のオマージュ、腹黒すぎる白兎のようです。
『ワタシ、メリーサン、イマ、アナタノ、ノウニ、チョクセツ、カタリカケテルノ』
そんな言葉がいきなり脳に響いた。
驚いて幻聴かどうか辺りを見回す。
『ワタシ、メリーサン、アナタノ、ユメヘ、トウジョウスルノ』
やっぱり脳に直接響いている感じだ。
夢へ?
『ワタシ、メリーサン、アナタノ、ユメヲ、アクムニ、カエルノ』
悪夢に…なら、やる事は1つしかないな。今日は完徹してやる。
『ワタシ、メリーサン、ユメへ、アクセスデキナイノ』
寝なけりゃいいんだ。寝なけりゃ。寝なけ………Zzz...
『ワタシ、メリーサン、ヤットネタノ、ユメへ、ハイルノ』
(夢へ!)
怪異メリーさんの新しいバージョンっぽい話。
「冬の夜に手袋売ってくれた優しいお店の人、元気かな?」
もう手袋が必要ない気温になって大事に仕舞おうとしながら呟いた。
「今度は帽子が欲しいな。あのお店にまた買いに行こうかな」
陽射しから守ってくれる帽子はどんなデザインがいいかな?と夜になるのを待ち遠しく思うのでした。
(元気かな)
手ぶくろを買いにのオマージュ、お店リピーターになりそうなようす。
あの方は100年を眠る呪いを受け静かに眠りについた。
眠りにつく間際に「100年後に起きたらまずはアナタ達の呪いを解くわ。約束よ」と言っていた。
100年は長く遠く、途中から数える者は居なくなっていた。
ただ1人、あの方の執事だけは数える事を止めていなかった。
「明日で1000年目か。いつになったら起きるのだ?」
呪いを解くという遠い遠い約束は未だ果たされていない。
(遠い約束)
いばら姫のオマージュ、寝過ごし過ぎてもう…なバージョン
「おいシンデレラ!!この枯れた花をさっさと捨てておくれ!!」
「継母様、それはドライフラワーのフラワーボックスだと昨日も言ったでしょ?」
「…そ、そうだったかしら?」
「ボケるにはまだ早いんですからちゃんと聞いてて下さい」
「おぉいシンデレラ!!この葉っぱをとっとと片付けな!!」
「長女様、それはこれから咲く種類のやつです。知識も無いのに勝手なこと言わないでください」
「うぉいシンデレラ!!食事に花が混じってるぞ!!ちゃんと選別したのか!?」
「次女様、それは菜の花のおひたしです。元からそういう物です」
こうしてシンデレラをイジメようにも正論返されてしまう意地悪継母様達なのでした。
(フラワー)
シンデレラのオマージュ、正論ぶちかましてイジメ回避のようす