ぽんこっぅ

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2/8/2025, 12:57:48 PM

2発の銃声は森へ、山へ遠く響き渡った。
何があったのかと言うと、森で熊に出会ってしまったからである。

本当はオオカミが出たとの知らせを受け追い払うために山に入ったのだが、運が悪かったのだろう。
熊はこちらを認識すると立ち上がり威嚇をしてきた。
自分はゆっくり後ろに下がりながら背中に背負っていたショットガンを手に取る。
ゆっくりと弾を装填しつつ木の影に身を隠しつつも熊から目線は逸らさない。
熊は苛立っていたのか腹が減っていたのか、追いかけて来るように動き出した。

今装填されている弾は散弾だ。足止めにはなるが怪我をさせるだけで仕留めらない上に一層凶暴化させてしまう。
2発目に確実に仕留める事が出来るスラッグ弾を入れておく。

熊が枝に引っかかったのか一瞬の隙が出来た。
その瞬間、照準を合わせ引き金を絞るように引く。
1発目で熊は驚いた様に顔を上げ、だがこちらに向かって走り出した。
2発目、熊の鼻先からめり込むように当たった弾の威力は相当なモノで熊は仰け反って倒れた。

その銃声が森へ、山へと遠く響き渡ったのだ。
この大きな熊を放置するとオオカミが寄ってきてしまうかもしれない。山から出す必要がある。
熊を運ぶにはあまりにも遠い距離だ。
(遠く…)

森のくまさんの熊が運悪く猟師に出会ってしまったバージョンの猟師目線。

2/7/2025, 12:34:10 PM

「今日もパンを届けに来たよ!」と赤い頭巾の女の子が勢い良く家に入ってきた。
「昨日のカゴと入れ替えておくね。それじゃぁまたねおばあちゃん!」と、それだけ言い残し走り去っていく。

いつも襲うタイミングがない。
ベッドからコソコソと起きてパンを手に取る。
カゴの中に一緒に入っているジャムとヤギのミルクを添えてモソモソとパンを食べる。

もう3年程この生活が続いている。
この家にはあの赤い頭巾の女の子しか来たことはない。なのに気付かれない。
誰も知らない、知りようがない秘密。
どうせ明日もあの赤い頭巾の女の子はやってくるのだろう。
(誰も知らない秘密)

赤ずきんちゃんのオマージュ、気付かれず生き長らえている狼。

2/6/2025, 12:15:52 PM

ハッとして起き上がる。
背中が痛いのは周りを見ればすぐ分かる事だった。
なぜ俺は野外で地面に寝ているんだ?
ここはどこだろう?山の中のようだが、どの山なのかは一切分からない。

立ち上がろうとして、手に持った物に気付く。
トランプのカードが5枚。
そういえばトランプゲームをさせられる夢を見ていたなと思い、ただその手に握ったトランプは一体どこからだ?と疑問が増える。
全てがハートのキングの5枚のトランプを地面に置き、標高が高いであろう方向に向かって歩き出す。

木の枝の間から見える白ぼけた空と自分が歩く音だけが響く静かな夜明けだった。
(静かな夜明け)

昨日の投稿の続きネタ、どうやらトランプゲームで勝てたようです。

2/5/2025, 12:27:57 PM

女王のような格好の巨大な顔の人物が目の前に居る。
トランプでゲームをして勝てれば帰してくれるというのだが、目の前の人物は堂々とイカサマを行い、こちらに対してはイカサマでも何もない運をイカサマだと言い、やり直しをさせてくる始末である。

目の前の人物が手札の要らない1枚カードを場に捨て、山札から1枚捲り手札に加え
「揃ったわ」
と一声言い、手札を場に広げる。
全て「ハートのA」である。役はheart to heart。

このイカれた頭のイカれたイカサマゲームをどうクリアするか、自分は助かるのだろうか?
(heart to heart)

不思議の国のアリスのオマージュ、ハートの女王と対峙してカードゲームを。

2/4/2025, 12:18:43 PM

「マッチは要りませんか?」
そう雪の降る街頭でマッチを売ろうとしている少女が居ました。
ですが、売行きは全くと言っていいほど無く、このままでは凍え死んでしまいそうです。
「なにか他の売り方を考えなくちゃ」
そう思い少女は今日の販売は取り止めて裏路地へと向かいます。
人気のない裏路地は治安が良くありませんが家への近道なのです。
少女は時々感じる視線に気付かないふりをしながら、それでも身体は早歩きになって行きます。
もう少しで裏路地を抜け切るかという時、後ろから勢いよく何かにぶつかられました。
おそらく視線を送っていた人でしょうか。

次の日からマッチを売っていた少女は街頭に居なくなり、代わりに路地裏の出口に毎日の様に花束が置かれるようになりました。
いつ置きに来ているのかも分からない永遠の花束は、ここで起きた惨劇を街に知らせているのでした。
(永遠の花束)

マッチ売りの少女のオマージュ、不幸な出来事の証の花束。

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