「今日もパンを届けに来たよ!」と赤い頭巾の女の子が勢い良く家に入ってきた。
「昨日のカゴと入れ替えておくね。それじゃぁまたねおばあちゃん!」と、それだけ言い残し走り去っていく。
いつも襲うタイミングがない。
ベッドからコソコソと起きてパンを手に取る。
カゴの中に一緒に入っているジャムとヤギのミルクを添えてモソモソとパンを食べる。
もう3年程この生活が続いている。
この家にはあの赤い頭巾の女の子しか来たことはない。なのに気付かれない。
誰も知らない、知りようがない秘密。
どうせ明日もあの赤い頭巾の女の子はやってくるのだろう。
(誰も知らない秘密)
赤ずきんちゃんのオマージュ、気付かれず生き長らえている狼。
2/7/2025, 12:34:10 PM